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私がキメラで王子のペット  作者: 三食パスタ
第一章
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1 異世界人召喚は失敗です

 眠い。

 より正確にいうなら、水泳の授業の後のように、全身が重い。このまま目を閉じれば、ずっと深く眠れるだろう。ひんやりした床は硬いし、何やらあたたかい液体で顔半分と上半身が濡れているけれど、それもほとんど気にならなくなってきた。

 なぜだろう、こうなる直前の記憶が無い。今日は日曜日だったはずだ。七時間バイトして、店長にお菓子をもらって。退勤してその後、いやもういいや、おやすみ。

「――失敗だと」

「どうして――計画は完璧――」

「――放っ――死ぬんじゃ?」

「いや――、殺せ!」

 うるさいな。

 はっきり聞き取れないだけに、人の声が虫の羽音みたいでイライラする。あと、顔についていた液体がなんか固まり始めた。パリパリして不快。コツコツという音も段々と大きくなっている。

 でも、もう寝返りすら怠くてできない。手足の感覚が完全に消えた。

 オーケー、全部どうでもいい。全ては起きてからにしよう。じゃあお休みなさい……。

 などと思った次の瞬間、バン、と木の板を勢いよく叩いたような音がした。

「そこまでだ! 大人し――ろ!」

「何!?」

「どこか――漏れ、がはっ」

「そこ、押えろ! あと――を確保!」

 う る さ い !

 さっきよりも辺りが騒がしくなり、再度意識が浮上する。身体が思うように動かないので見えないが、何やら複数人が暴れまわっているようだ。

 何なんだろ、もう。喧嘩とかよそでやってよ本当に。深夜帯に大音量で流れるバイク音とかテレビの音とか大嫌いなんだよ。滅びろDQN。

 ん? 何だろ……靴? が見える。

「意識が――か、驚い――」

 ダメだ、誰かいるみたいだけど、もう眠くて仕方がない。

 少し暗くなったと思うと、ごろんと体がひっくり返された。目と鼻の先に誰かの顔があるみたいだけど、全体が捉えられない。

 霞んできた視界に、金色の何かが二つ浮かぶ。蜂蜜を凍らせたような色。

「――――――」

 何か言ってるけど、頭はもう理解しなかった。とりあえず、ちょっと、そう。

「五分だけ……あとで起こして」

 全ては、起きてからにしよう。

 そうして今度こそ私は、眠りに落ちた。

睡眠欲>>>>>話の展開

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