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3無い(金、コネ、実績)の人間が有力者、既得権、資産家、権力者、これらのコネクションと繋がり懇意な関係を築き、彼らのリソースを使う立場まで持っていくことは非常に困難である。
何もない人間がゼロから何かを成し得るのに必要な要素は運が6割、コネクションが2割、金が1割、最後に血の滲むような努力と才能の要素が1割と、ほとんどの場合、運とコネと金さえあれば大体成功する。努力と才能の要素など、ほとんど取るに足らないような些末な要素なのである。
正直な所、運良く富と権力とコネを持っている貴族階級のような家に生まれ落ちたとしたのなら、余程運悪く100年に一度起こるかどうかの社会の変革の時期に生まれたり、どうしようもない馬鹿で無い限り、教育する人材、場所、資金の面で一般階級が受ける教育なんかより手厚い教育を受ける事が可能であるし、特権階級や有力者の子息だけが集まるような教育機関などに入れば、余程のコミュ障でない限り特権階級や有力者の子息と友情関係を構築できる。それはその子息の父親とのコネを簡単に繋げる事を意味し、友人である有力者の子息が信頼と身元保証までしてくれる、正にコネを作る上でいたせりつくせりな環境を親が敷いてくれる訳である。その上いずれ家督を親から継承する段階で親の権力、資産、コネクションも全てそっくりそのまま受け継ぐ事ができる。
更に、金と権力はアリの巣に落ちた角砂糖のような働きをし、有象無象のアリ達がその権力や金のおこぼれに与ろうとわらわらと群がって来る。だから、本人に才能が無かったり努力する事が嫌いだったり多少馬鹿だったり性格に難があろうとも、権力や金と言うのは多少の齟齬や不具合を覆い隠してしまう程魅力的で有益であり、その群がるアリの中から優秀な働きアリを見つけだし、自分に無い才能だったり、好き好んでやりたくも無い努力なんかをその優秀な働きアリに金や権力を餌にアウトソーシング(業務委託)させてしまえば良いわけである。
その上、自分に持っていない、出来ないような問題でも、より簡単に、より大規模に解決する事が可能であり、限定品の商品のようなものでも、その商品を作っている工場を持っている経営者から直接買い取る事が出来る。もしその経営者と繋がりが無くとも友人の友人がその経営者と知り合いである確率は一般人の繋がりに比べて何倍も高い。更に自分に実績や実力が無くても親が有力者ならその親の信用を借りる事が出来る。生まれは誰にも選べないが運良くこの生まれのボーナスを引けたならその効果は絶大である。
今も昔も変わらず、この世は階級社会である。それが目に見えるか見えないかの違いはあるが階級は存在し、上流階級や既得権、権力者は似た者同士のそれらの階層の人材と繋がりやすく自身の階層以下の有益で無い人材など時間の無駄なので歯牙にも掛けない。だからこそ金とコネは何よりも大事なのである。
残念ながら、金とコネは血の滲むような努力と才能の要素なんかよりもよほど有益で尊い。しかしそんな取るに足らないような要素の努力と才能も3無い(金、コネ、実績)の人間にとっては代え難く自分の目的を達成させる上での必須条件、絶対条件なのである。何故なら3無いの人間にとって残念ながらそれ以外に伸ばす要素、売るべき商品が無いからである。
金がないなら生物にとって貴重な時間を誰かに売る(人に雇われる)事で二束三文を稼ぐ事が出来る。賃金を上げたいなら、一番手っ取り早い方法は学校に行く事であり、人や国の援助が無ければ何年もかけて二束三文を稼ぐ等の方法で学費を稼ぐしか無く、働きながら学費を稼ぐ等の過負荷を強いる事になり、仮に運良く借金出来たとしても、借金とは未来の自分への負債である。借金の性質は未来で自分が稼ぐであろうはずの資産の利息付き前借りであり、だからこそ金持ちに比べてスタートが遅れる事は否めない。
更に悲しい事に時間を売って労働して、いわゆる汗水流して稼いだ賃金(労働収益)よりも金持ちが労働者を雇い働かせたり、金で株などを売り買いしたり、土地や建物を家賃で貸し出して生み出す利益(資産運用)の方が規模の論理や効率性、合理性の観点により効率的にお金を増やす事が出来るのである。
(資産運用)≧(労働収益)
の構図であり、この法則は戦争や革命などの社会の変革の時以外はほとんど必ず機能する。だからこそ人々は
資産家、権力者、既得権、いわゆる上流階級の人々の視点から物事を観れば、彼らはウンザリするほとんどメリットにならない相手が寄って来るし、彼らの持ち物を無心して来る。それらの所謂ノイズ、クズ(格下)とどうして交友関係を築く必要があるのか?彼らとのコネは誰がどう見ても有益なので、持たざる者がどんなに無心した所で現実はフィクションやなろう系の主人公のように簡単に権力と懇意になる事など不可能に近いほど難しいのである。
この世は損得、ギブ&テイク なので権力者と懇意な関係になる為には
権力者側の欲しい何かを提供する。もしくは恩を売る。殆どの人間は格上に対して無心しかしない。だからコネクションが作れない。そしてライトノベルの様に偶然権力者の家族が野盗やモンスターに襲われている所を偶然助けて恩を売るイベントなんか起こらない。
・恩を売る
・何かを提供する
エレノアは取り敢えず全部やってみることにした。