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Cinderella story  作者: Alan Smithee
1/8

01

“シンデレラ” その童話の詳しい発祥は不明だが、それは魔導歴400年あたりにヘルヴェティア共和国の浮浪児達が生み出したとされる話を、児童作家、アラン・スミシーが出版した童話である。その内容はみすぼらしい生まれの灰被りの奴隷、シンデレラは3人の女主人に辛辣に扱われていたが、その女主人たちを自らの知略と気力を駆使して打ち倒すと言うよくあるおとぎ話である。


そんな唯のありふれた御伽話である“シンデレラ”


だが、裏社会において "灰被り(シンデレラ)"それは口に出すのも憚れる、地獄の怪物の名前であり


曰く


その名前を口に出す事は魂を地獄の怪物に永遠に弄ばれる


曰く


それは悪魔の禁畏(スペル)であり、口に出すと3代呪われる


など、子供じみた噂から信憑性のありそうな話まで、様々な憶測に包まれた畏怖の”コード”である。


ーこれはネズミの国の糞ったれな他力本願の、甘い甘いメープルシロップたっぷりのパンケーキのようなおとぎ話では無いー


ーこれは糞ったれの世界魔導対戦を生き延びた、脆弱でちっぽけな少女の取るに足らない、些末なお話であるー


ヘルヴェディア共和国、国土の約半分が山に囲まれた内陸国家である。ヘルヴェディア共和国内のとある都市、南区、ここは富裕層が好んで住む地域である。


-- 南区 とある豪邸内にて --


手すりの部分が一部崩壊した柵を抜け、茂みをかき分け

手入れが行き届いている庭の木陰に座りながら空を見上げる。


あーいい天気だな、クソが…

鳥がピーチクパーチクわめいてやがる。

あーあ、全く…猿山のボスも大変だよ…クソが…


「おいっ!そこの浮浪者のガキ!!!どうやって入ってきた!?」


(あーあ…見つかっちゃったよ… まぁ君に見つかる為に居たのだが、もう暫く平穏を堪能したかったよ…)


「貴様、ここはダスティアス家の領地だぞっ!」


(温室育ちのボンボンの癖に威勢が良いな…)


 声のした方向を見上げると、そこには年齢の割に体格の良いブロンド髪の綺麗な身なりの男の子がこちらに指差し威勢良く叫んでいた。

 普通、知らない餓鬼が自分の敷地に侵入したのなら、この年齢の子供だったら親や保護者にその事を伝え、自ら出てくる事は無いだろう。(と言うか殆ど無かった)そう言う意味ではコイツは他の奴らに比べて胆力がある。


「おっ、お前、まさか… 灰だらけのボサボサ髪、貧相な体つき、両手の包帯… 最近ここらで俺の友達をつぶして回ってる浮浪者のガキはお前かっ!?」


 まぁ確かに、この子供の言う通りろくな餌にもありつけず体はスカスカ、服はボロ切れ、髪の毛は灰だらけ、その上両手には薄汚い包帯(バンテージって奴なんだけどね)そこらへんに掃いて捨てるほどいる底辺の中の最底辺の餓鬼、もしくは心に何か年頃を抱えたアレなあれだと思われても差し支え無いだろう。


「私の事を知ってるなら話が早い、お前は温室育ちのボンボンの癖に威勢が良いな!お前のオトモダチと違って、楽しませてくれよ!」


 昨日1日を潰して精一杯考えた子供を怒らせる挑発の台詞を吐きながら、相手に悟られないように鼻から息を肺の下腹部へと押し込む。息を鼻から吐くと同時に体の体の力みを抜き全身を脱力させる。いつどんな行動にも対応できるように周りに悟れないように最大限の警戒をする。視線を悟られない用に周りに気を配り、足元の小石や草木の状態、先ほど確認した、木や人工物の位置と自分の位置の再認識、


(鳩尾に中足前蹴り、組んでからの鳩尾への膝、体落としかな…)


脳内で相手の行動予測とそれに対するいくつかの対応シミュレーションを行う。


「ジョンの奴、こんな薄汚いガイコツ野郎に負けたのかよっ!情けねぇ奴、ジョンの代わりに俺がぶっ殺してやるよっ!誇り高いダスティアス家の敷地を跨いだ事を後悔するんだなっ!」


(こんな事言う奴がいるんだな…)


 うん、君の判断は概ね正しいよ、概ね、ね。私は君より20cm位チビだし、体重もおおよそ40kg位違うだろう。年齢も多分君の方が3~4歳は年上だと思うしね。普通に考えたらこんな薄汚い骸骨、平均的な男の子だったら誰でも簡単に倒せるだろう。君みたいに体格に恵まれてて威勢の良い胆力のある子だったら赤子の手を捻る位簡単に見えるだろう


(それと、君が友達だと思ってるその"お友達"のお願いのせいで私は今、小っ恥ずかしい台詞を吐いて、こうして君にやりたくもない危害を加えなきゃならないんだが…)


恥ずかしい台詞を自ら吐いて気落ちしてる骸骨ことエレノアに向かって、"誇り高きダスティアス家のお坊ちゃん"が勢いよく突っ込んで来る。


(予想通り…)


エレノアは"誇り高きダスティアス家のお坊ちゃん"を軽くいなし、誇り高いその巨体を予め予定しておいた柔らかい草木が生い茂った地面に叩きつけた。

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