ちょっぴりお出かけ
大変久しぶりの更新になります^^;
気が付くと、いつの間にか水の大樹を囲う様に湖が出来上がっていて、そこからいくつもの小川が流れだすようになっていた。
水の大樹自体も、最初から比べて更に大きく成長している。
そういえば、随分と沢山の子とお別れをしたな……。
一体、何度小さなお友達がその寿命を終えるのを見送ったのだろうと彼女はふと考える。
今も足元の青々と茂る草花に宿った彼等の命はとても短い。
みんなと歌を歌ったり、踊りを踊ったりしながらのんびりと過ごすのはとても楽しかったけれども、彼等が散っていく時は、いつでもとても寂しい。
ご飯の木も、既に何代目になるだろう?
着替える度にみんなに見られるのが気恥ずかしくなって創った、赤地に白い水玉模様のキノコのお家も随分と煤けてきていて、随分な時間が過ぎているのだと言う事は簡単に理解出来た。
水の大樹を背に、周りを見渡すとここが荒野だったなんて信じられない程の色彩に溢れた美しい世界が広がっている。
自分の視界の外の世界がどうなっているのかと、ふと、それが気になって彼女はポツリと呟く。
「ここから旅立って行った子達は元気にしているのかしら?」
すでに、綿毛になって旅立って行った子達が未だ永らえている事はないだろう事が分かっているものの、疑問を口にすると彼等のその後が気になる。
「ちょっぴり、遠くにお出かけしてくるわね?」
足元に集まってくる小さなお友達にそう伝えると、彼等は自らの種を彼女に託す。
言葉は未だ交わせないものの、キラキラしたその目を見れば彼等の意図を汲む事は出来る。
「貴方達の代わりに、連れていかせてもらうわ。」
彼等の小さな手と、人差し指で握手をしながら彼女は川に沿って歩き始める。