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勇者は敵だ、異論は認めん。  作者: 銀柳 狐
2/2

1日目 昼

グリムト暦1012年-



世界は魔族側と、勇者側での戦争が始まった。魔族側は召喚球という魔導兵器を使い、魔物の兵団を作り上げ、勇者側は種族ごとに勇者に付き従う仲間を集めた。



戦いは熾烈を極め、勇者側の仲間が志半ばで地に伏せたり、勇者が寿命を迎えたりしていた。魔族側も永劫の命ではなく、魔王、魔族の主力世代の交代が何度も起きていた。



グリムト暦1082年―



双方に多大な被害を与えていた戦争に、一縷の光が見え始めた。

勇者側に魔導兵器の開発着手が始まった。人1人では魔族、果ては魔物にすら梃子摺る常識を覆す出来事だった。



振り回すだけで爆発を起こす鎚、魔導を使用する際に威力を向上させる杖、引き金を引き、小さな鉄の粒を吐き出す銃など、多彩な兵器を作り出した。



これにより、劣勢を引きずっていた勇者側も押し返すどころか、優勢にすら立てることができた。

だが、勇者側に進歩が見られたように、魔族側にも改良があった。



魔導球の強化である。

魔物を生み出す魔導球は、魔導を込め、放り投げると始動。そのまま魔導が切れるまで魔物を生み出していたのだが、1つにつき1種類しか生み出せず、魔導が切れるとただの石になってしまっていた。

それを改良して、数種類を生み出し、自身(魔導球)が自然に魔導を吸収、生成して再始動するというものに進化していた。



グリムト暦1192年―


ついに魔王の根城に攻め込めた勇者一行がいた。

戦力、知力、行動力と、歴代の勇者一行よりも、2つ頭が抜けたパーティーだった。





「はあああああああ!」


光り輝く剣を真っ黒な骨で飾られたリビングデッドへと振りかざす。

防御しようとした盾ごと剣は切り裂き、そのまま魔物を霧へと帰す。


「ふぅ、何とかここまでは来れたね」


勇者は剣をブレスレットに戻し、気を緩め、仲間に声をかけた。


勇者が倒した魔物が最後のようで、俺もホルスターに愛銃を仕舞い、小さくため息をつく。


―勇者一行。世間からそう呼ばれるのは何時の頃だったか。

ただ金が好きで、ギルドに登録して、稼ぎまくってたら気づけば王様に呼ばれ、ふとした瞬間には勇者パーティーの仲間入り。どうしてこうなったのか・・・。


「何考えてるのか何となく分かるが、とりあえず休憩しようぜレイヴン」


思案に暮れていると、弓の手入れをしながら話しかけてくるエルフがいた。

ハル・クロード。エルフのくせに女好きが拗れて、自分の生まれ故郷から飛び出してきた変わり者だ。

ハルの声に軽く返事をし、ほかのメンバーが集まって各々休憩している場所へ向かった。

ほかにハルと同じ腐れ縁のガードナーに、残念美人のヒーラー、そして勇者・・・。


「俺は少し離れて休む。いろいろと補充もしたいしな」


そう、メンバーに声をかけ少し距離をあけ、装備のチェックを始めながらまた考え込む。

勇者。このパーティに必要不可欠な、魔族に勝利するために必要不可欠な者。その魔導は数多の敵を討ち滅ぼし、歴代から受け継がれてきた武器や防具は魔族数人とも互角に戦える強さがある。

そして、今代の勇者は歴代の勇者よりも強いとの話だ。



確かに、魔族の何人かは一人で打ち滅ぼしてたし、魔導の貯蔵量も普通よりは高い。

だが、1つだけダメな物・・・性格に頗る難ありなのだ。

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