1日目
何時からだろうか、こんな感情を心の内に抱き始めたのはー
目の前に迫るデュアルアックスをオリハルコンの杖でいなし、持ち主の顔面にショットガンを叩き込む。
チラチラと脳裏に映るのは数分前まで共に戦っていた仲間達。
弾の残量がゼロになったそれを宙に放るように投げ、魔力を込めつつ、炎弾を周囲にばら撒く。
あとで必ず助けに来ると言った魔導ガンナー。
補充完了の合図を知らせる金切音を聞き取りつつ、銃を握り直し、ホルスターに仕舞い込む。
罠を設置しながら身を守るのに使えと言ったハンター。
炎弾を耐え、もしくは搔い潜った団体様が雄叫びをあげながら迫る。
寡黙ながらも、一度こちらを見つめ頷くガードナー。
天位魔導を発動させながら、罠の近くへと走り出す。
勇者しか見えておらず、大ダメージを受けた仲間をお座なりな回復しかしてこなかったヒーラー・・・!
罠を起動させ、六位魔導に相当する電流が流れ出し、近づいてきたモンスターを炭化するほど焦がす。
笑顔で、無知で、イケメンで、ムカつくほどイケメンで、しかもイケメンな、無責任勇者!
ウェーブが止み、数十秒の魔力補充を始める召喚球を睨みつけながらも、束の間の安息に安堵する。
この胸の痞えは分かる。感じる。理解している。
否定したくても、今までの感情を煮詰めたような地獄の蓋は開き始めている。自分を虚偽し、騙し、隠そうとしても感情だけは事実だ。
次のウェーブが始まる合図の様に召喚球が振動し始める中、俺は息を詰め込めるだけ肺に詰め、大声にして発動させた天位魔導と共に吐き出した。
「勇者なんて、大嫌いだあああああああああああああああああああ!!」