修行4
レオの攻撃をオーラの鎧で受け止めた九郎は悠然と振り返る。
「闘気武装を使えればかなりの戦闘能力アップになるからな。短期間で習得してもらう」
「つってもどうやったらできるんだ?こんな風に戦っててもできるようにはならないだろ」
「そうでもないさ、俺は闘気武装を戦いの中で完成させた。命を懸けた戦いだったからな。お前たちも恐らく何回も死の恐怖を味わうことになるだろうな」
「うっわ、それは死ぬ気でかかんねぇと」
ゼクシアが大剣を振りかぶり九郎の頭に叩きつける。もちろんそれが九郎の頭を切り裂くなどということはない。
「その程度で死ぬ気か?防御の準備をしておけ、次の攻撃で死ぬぞ」
その言葉で2人ともオーラを高める。
「黒之咆哮」
この攻撃を食らった2人はなおも普通に立っていた。
「おい、それは前食らってるだろ。なんで思わせ振りなこと言ったんだよ」
「どのくらいの防御力なのか知らなくては本当に殺してしまうだろう。それに、そのくらいのオーラの量があればなんとか闘気武装できるな」
再び激しい攻防が始まる。九郎の方が圧倒的に優勢ではあるがあえて隙を作ることによりレオたちにも攻撃の機会を与えている。
それぞれが修行を続け1週間、明らかに以前よりも強くなっていた。それこそ以前の自分たちを相手にしても片手間に倒せるのではと思うほどに。
そんな時九郎のもとに知らせが走った。
「九郎様、本日ザントーナ共和国で手品師のような姿をした男と体から木の枝が生えた魔物どもが暴れ甚大な被害を与えたとのことです。その後男と魔物たちはさらに北へ向かったと」
ザントーナ共和国はエクテリア王国よりも北にある国である。そして世界の北側、陸地の5分の1ほどの面積は九郎の領地でありザントーナ王国は含まないもののさらに北となると九郎の支配域となる。
当然そこへ向かう者を黙って見ているわけにはいかない。
「手品師か・・・・最近戦った記憶があるよな」
レオがその時の戦いを思い出すような遠い目をして言う。
「ああ、おそらくはあいつだろう。あの時に我が国を出たならばちょうどザントーナに着いていても良いころだ」
「今日のうちに知らせが届くって大魔王軍どんだけ優秀なんだって話だぜ」
感心しながらゼクシアが言う。
「空間魔法の使い手も多数いるからな。今回知らせを持ってきたアインスもそうだ」
アインスは銀色の長い髪の持ち主で見る者を射抜くような鋭い目付きをしている。魔族の中でも相当な美男子である。
「空間魔法ね・・・・敵に回したくないわ」
「では、早速敵を討ちに行こうか。聞くべきこともあるしお前らには手品師と魔物を任せよう。親玉は俺が行けば出てくるだろう」
アインスの空間魔法を使い、一行は北へ向かった。




