修行1
修行とか書いておきながらまだ修行してない・・・
九郎の城にできた剣球のコートでみんなで遊んでいると兵士がやって来た。
「この子供が勇者様と知り合いだと言っているのですが本当でしょうか?」
そこにいたのは町でレオを殴った少年だった。
「アルスか。話してやってもらえないか?」
「本当にお知り合いでしたか。ご無礼いたしました」
「その子供はあの時のか・・・・」
「ああ、強くなりたいって言うから最近稽古してやってるんだ」
「ほう、稽古か」
「それで思い出したんだが、俺たちも稽古つけてもらえねぇか。ファルッサの件で分かったんだが俺たちは弱すぎる。もっと強くなんねぇとお前の部下なんて務まらない」
「別にいいが俺の稽古はハードだぞ」
「構わんさ」
「そういうことなら1週間で今の5倍強くしてやろう。まずはお前ら腕立て腹筋背筋それぞれ500回、素振り1000回だ!!」
「すげぇハード・・・・」
こうしてレオとゼクシアは九郎による超ハードな特訓を行うことになった。
「って・・・・俺もかよ!?」
「レオだけ強くなっても意味がなかろう。お前もだ」
「おっさんを労れよ・・・・女子はいいのかよ」
「後衛を守るのが前衛だろう?」
「あの、九郎さん。私も稽古してもらえませんか?」
「私も私もー!」
シリアとブレンダも修行したいようだった。2人に置いていかれたくはないのだろう。
「2人には脚力の強化と魔法の強化だな。ん、何か忘れている気がするが」
「そうだよ!何で俺忘れて修行の話してんだよ!」
「で、何の用だ?」
「北の方の森で見たことない魔物がいたって商人のおっちゃんが言ってたからさ。一応大魔王に教えといてやろーかと思って」
「北の方で・・・・見たことのない魔物か。ありがとう、助かるよ」
普段いない魔物が現れるということは何か大変なことの予兆であることが多い。例えば魔王軍の偵察部隊であるとか、強い魔物によって住み処を奪われた魔物が来ただとか、自然災害を直感して逃げてきたなんてこともある。とにかく何かが起ころうとしているのは間違いなかった。
「じゃあ早速見て来るから野郎2人はさっき言ったのをやっとけ。そしてだ、シリアとブレンダにはこれをやろう。魔法のバリエーションを増やすのが手っ取り早い強化だ。」
そう言ってシリアには白に金の装飾が施された本を、ブレンダには真っ赤な本を渡す。
「えっ!星の書というと存在が否定され続けてきた光属性の超高等魔法ばかりが載った魔導書ですよね!?いただいちゃっていいんでしょうか」
「私のもクリムゾンノートってめっちゃ曰く付きの魔導書じゃん。なんでこんなの持ってるんだか・・・・。これ全部覚えたら国くらい簡単に潰せそうだよねー」
「どっちも俺は使わんしな。やったところで問題はない。2つとも詠唱が短い、もしくは不要なのも魅力だな。では行ってくるぞ」