バビロンの塔
公園のベンチに寝っ転がり星空をみあげていると少年は平和であることを実感した
体に何も力が入らない
寒くて寒くて仕様がなかった
12月の風は少年にはあまりにも酷で、物悲しいきもちにさせていた
あの人はもう寝ただろうか 寝たのなら部屋に入れるのだが自分が虐待を受けていると自覚したのは、小学校に行き始めた時だった
入学式の日 当たり前のように愛されている他人を見ながら、少年は疑問に思った
何故あんなにも簡単に愛を手に入れられるのであろうか
少年は愛を知らなかった
浮気してできた子供である自分は家族に存在を認識されていなかった
母と義理の父の間にできた子が流産してしまい、二人の関係が冷め切っていく中、母は浮気をしてしまった
そこでできたのが少年であった
おろすといって聞かなかった母を止めたのは父で、
二人でこの子を育てていくことがしたいと言ったのだ
しかし、父は少年が産まれる前に事故で他界し、残されたのはお荷物だけだった
母は毎日毎日違う男を連れ込みただただセックスを繰り返していた
それを幼い頃から少年はずっと見ていた
女が男に食べられるのをずっと見ていた
そして、部屋の隅にしゃがみこんでいるのを見ると、死ぬ限界まで殴られた
最初は痛くて痛くてたまらなかったそれも今となってはどうでもよかった
ただ、少年は母の愛が欲しかった
母の愛の形がセックスだとするならば、少年は母を抱きたくて堪らなかった
初めて自分の性器を触って射精した時、少年は母に欲望を抱いている自分を自覚した
母のいやらしく緩んだそれに自分をねじ込むことができたならと想像したら堪らなかった
愛されたい
「きっと母と僕は同じ言葉を話せないのだ」
神様に分けられた言葉を取り返すべく、少年は
塔へと足を向けた