流星会アジト爆破事件 6
その時爆弾の中にあった携帯電話がメールを着信した。するとタイムリミットが一分に減った。
「この事件には黒幕がいる」
今岡を警視庁に護送した時携帯電話は没収した。その後身体検査をして電波を出すような機械を持っていないことを確認した。つまりこの事件には黒幕か共犯者がいるということになると大野は考えた。 誰が共犯者かなんて考えている時間はない。もうタイムリミットは三十秒を切った。
三十秒を切った時アラーム音がコンビナート中に鳴り響いた。爆発へのカウントダウンが始まったのだ。この時点で九つの爆弾は解体されただろう。
もはや勘に頼るしかないだろうと大野は思う。大野はペンチを握り白いコードを切る。
爆破まで後十秒。爆弾は解体された。
汗だくの大野は合田に爆弾を解体したことを報告した。
「それで最後の爆弾は見つかりましたか」
『中林敦の自宅だったよ。何でも一番葬りたい贋作があの家にあったそうだ。それも解体した』
報告が終わると救急車が到着した。救急隊員は緋弾した中井を警察病院に運ぶ。その時木原と神津の二人が戻ってきた。神津は大野に報告する。
「残念だがスナイパーは逮捕できなかった」
二人は謝ったが大野は許した。そして神津の運転する車に乗り込む。車内で大野は総括する。
「長い事件でした。まさか爆弾事件が発生するとは思いませんでしたよ」
木原も事件の総括をしてみた。
「それだけ今岡は絵画を愛していたのでしょう。そして贋作や盗作を憎んでいた。絵画愛が生んだ大事件だったのかもしれません」
三人は警視庁に戻る。事件は解決したがまだ取り調べや裏付け捜査が残っている。まだこの長い事件は終わらない。