真犯人のプライド 3
今岡は動機を語りだす。
「あの三人は贋作を売って麻薬を買う資金にしておった。その麻薬を流星会幹部の熊田に渡すことで小遣いを稼いでおったわい。それだけじゃない。あの三人は流星会の盗んだ盗作も売るようになった。その中にはわしの尊敬する画家松原雲彩の絵画もあった」
木原は質問をする。
「それが四代天使だった」
「そうじゃ。二年前友人の家から四代天使が盗まれたと聞いた。その時はご愁傷様と思ったよ。深海卯吉の店であの絵画を見つけるまではな。それであの絵画を売約した敦君の家に行って買うのを止めるように説得した。彼は言う事を知らなかったよ。それどころか贋作や盗作を売って大金持ちになったことを自慢したよ。その時思ったのじゃ。この詐欺事件に関わっている人間を一網打尽にしようとな。この殺人計画が二年越しに実現するとは思わなかった。誰がこの詐欺事件に関わっているのかを調べるために二年も掛ってしまった」
大野は聞き返す。
「それで手に入れた贋作や盗作はどうするつもりですか」
「贋作はこのコンビナートごと爆破させる。贋作なんて意味のない物じゃから。盗作は盗難事件の被害者たちに返す。もういいじゃろう。刑事さん。すぐに避難してくれ。関係無い被害者は出したくない」
今岡は爆弾のスイッチを取り出す。その様子を見た大野は怒った。
「いいかげんにしなさい。あなたも犯罪者じゃないか。あの爆弾も流星会のアジトから盗んだ物でしょう。さらにあなたは二人も殺した。さらに富山栄一郎さんを監禁して殺そうとした。罪状は違うけれどどちらもやっていることは犯罪じゃないか。盗作を持ち主に返して正義の味方のつもりか」
今岡は泣き崩れた。そして神津は爆弾のスイッチを確保した。木原は爆発物処理班を要請した。
普通ならここで終るが、これから今岡の陰謀が加速する。
事件は終わらない。