捜索と対立
まずいと木原は思った。
「すぐ捜索してください」
『言われなくてもそうしていますよ』
木原は電話を切り神津に報告する。
「もしかしたら第三の事件が起きるかもしれません」
木原と神津は北条に鑑識を依頼した。その結果は一目瞭然だ。
「たしかに一致しますね」
「ありがとうございます」
去ろうとする二人を北条は轢きとめた。
「この絵画を見てください。これは深海卯吉の手帳に書いてあった流星会のアジトで発見した絵画です。気になったので指紋を調べてみました。三人の指紋が検出されましたよ。一人目は熊田。二人目は中林敦。三人目は・・」
二人は予想していないことを知り驚く。
「でもなぜあの人が」
「理由は絵画の内容だろうぜ」
木原は絵画に注目する。
「なるほど。だからあの人が犯人ですか」
神津は補足をする。
「動機も物的証拠もある。あとは密室トリックだけだ」
この会話を聞いていた北条は第二の事件について報告をする。
「そういえば窓枠の外側からワイヤーでこすったような跡が検出されました」
二人は互いの目を合わせる。
「それです。これで全てが揃いました」
「最後は富山栄一郎の行方か」
二人は深海卯吉の残した手帳を見る。すると鑑識室に望月裕子が入ってきた。望月は二人を注意する。
「正式にこの事件は我々組織犯罪対策課の事件となりました。あなたがた捜査一課はこれ以上捜査しないでください」
木原は望月と対立する。
「第三の事件が起きるかもしれません。第三の被害者が出てもいいというのですか」
望月は言葉を詰まらせる。木原は望月に質問をする。
「この手帳に書いてある流星会のアジトに突入しましたか」
「いいえ。一か所だけ突入できなかった場所があります。その場所だけ鍵がなくて」
木原と神津は目を合わせる。神津は聞き返した。
「その場所はどこだ」
「東京湾の第二コンビナート」