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コレクタールームの密室 1
その頃合田達は中林家に臨場した。殺人事件が発生したという通報があったからだ。
先に来ていた北条は彼らに声を掛けた。
「合田警部。現場はあの離れです」
合田たちは現場の離れに入る。そこには多くの絵画が飾られていた。
北条は現場の状況を説明する。
「死亡したのは中林敦。六十歳。中林運輸の社長。死因は後頭部殴打による脳挫傷。凶器は灰皿でしょう。その証拠に現場に落ちていた灰皿には血液が付着しています。被害者の血液なのかは不明ですからDNA鑑定をします。第一発見者は妻の中林玲子です」
木原と神津は通報をした第一発見者中林玲子に話を聞く。
「息子の巧が交通事故にあったということを伝えるために寝室に向かいました。寝室にはいませんでした。多分このコレクションルームで絵画鑑賞でもしているのだろうと思いここに来ました。いつも敦はこの部屋の鍵を掛けないのに鍵が掛っていたことを不審に思い窓から中の様子を確認しました。そうしたら敦が倒れているのが見えてドアの鍵を壊しました。脈がなかったので死んでいることを悟りました」