突入
二人は急いで駐車場に向かう。車に乗り込むと急スピードで発進させた。
「組織犯罪対策課より早く重要参考人を確保すればいいのだろう。楽勝さ」
神津の発言を木原は否定した。
「はたしてそうでしょうか。彼が重要参考人の可能性もありますが犯人の可能性もあります。麻薬の取引でのトラブルが動機かもしれません」
「何か。この事件は最初から組織犯罪対策課の事件だったのかよ」
「それはまだ分かりません」
そのようなことを言っていると深海古美術商店に辿りついた。周りには組織犯罪対策課の刑事の姿はいない。すると周辺にパトカーが駐車されて中から組織犯罪対策課の須田が現れた。
「お前らは捜査一課の刑事だろう。邪魔だ」
周囲にいる刑事たちは拳銃を構える。望月は無線で指示を出した。
『深海卯吉を重要参考人として確保してください。準備はいいですか。では一二の三で突入します』
刑事たちは玄関に向かう。そしてカウントダウンは始まった。
『一二の三』
二人はどさくさに紛れて一緒に突入した。事務所の灯りは付いている。しかし鍵は閉まっていた。木原は嫌な予感を抱く。
「まさか」
木原は組織犯罪対策課の刑事たちに呼びかける。
「一緒に事務所のドアを破ってください。一斉の」
十数人の刑事たちの体重でドアは破られた。部屋の中では深海卯吉が絶命していた。彼の近くには血で書かれたような文字があった。その近くには血の付いた灰皿が落ちている。
神津は首を傾げる。
「山?」