見舞客 1
新たなる謎が浮上した頃木原と神津は東都中央病院にいた。
受付で病室を確認した二人は病室のある十階に向かい。その病室は個室だった。
「警視庁の神津だ。中林巧。少しお父さんについて教えてくれ」
「だから俺におやじは殺せない。犯行時刻俺は交通事故に巻き込まれてこの病院に搬送されたからな。完璧なアリバイだろう」
木原は補足をする。
「中林敦さんの人間関係について教えてほしいのです。あなたには決して破られない鉄壁のアリバイがあります。だから聞きたいのです。あなたは犯人ではないという信用がありますから」
中林巧は頷く。
「とは言ってもおやじの人間関係なんて知らないことが多いぜ。まあおやじを殺したのは松原雲彩とかいう画家だろうぜ。おやじはあの画家さんの絵画を酷評していたからな。構図はいいけど・・」
その時白い無精ひげを生やした男がドアを開け乱入してきた。
「デッサンが下手だったと言っていたな。巧よ。出世したな。わしの悪口がいえるようになったくらいに。恩を仇で返すとはこのことだ」
松原の言葉に中林巧は慌てる。
「これは刑事さんに聞かれたから答えただけです」
二人は男に名刺を渡した。
「警視庁の木原です。あなたが松原雲彩さんですか」