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六人の容疑者
中林家を後にしてから木原は合田に報告をする。
「合田警部。容疑者は月森清明だけではありません。新たに四人の容疑者が浮上しましたよ。深海卯吉。富山栄一郎。今岡正巳。中川玲子です」
『中川玲子。被害者の妻で第一発見者。彼女にも動機があるのか』
「はい。どうやら借金があるらしいです。それで保険金について調べてもいいですか」
『それは聞き込みをしている部下に任せる。お前らは新たなる容疑者について調べろ』
電話を切ると神津は車を発進された。運転しながら神津は呟いた。
「あの五人には全員何かしらの動機がある。だから全員あやしい」
「保険金殺人。濡れ衣を着せられたことへの復讐。絵画を手に入れるための殺人。どれも可能性はある」
そう答えた時あることを思い出した。
「五人の容疑者ではない。もう一人容疑者はいます。被害者の息子です」
「動機がないとは言い切れない。だが彼は犯行時刻直前交通事故にあった。だから犯行は不可能だ」
「何かしらの情報を持っているはずです。話を聞いてみる価値はあるでしょう」
車は東都中央病院に向かう。