深まる謎 1
翌日大野達郎は警視庁に来た。いつものように捜査一課に向かい歩いていると会議室に見覚えのない事件が書かれた紙が貼ってあるのが見えた。昨日発生した事件かなと大野は思った。
捜査一課には珍しく先客がいた。合田はデスクワークをしている。そこへ一人の刑事が合田に報告をした。
「警部。現場近くの公園のゴミ箱に例の黒いジャージがありました。血痕も付着しています。DNA鑑定もしますね」
合田は溜息を吐く。
「悪いな。北条。仕事を増やして」
大野は合田に挨拶をする。
「おはようございます。合田警部」
「おはよう。早速仕事の話をしよう。会議室に見覚えのない事件の紙が貼られていただろう。仕事はあの事件の捜査だ」
合田は事件のあらましを説明した。
「なるほど。密室殺人事件ですか。容疑者として一人の男が浮上したところで昨日の捜査は終了」
「まあ鑑識の結果次第ですぐに解決するだろう。後は密室殺人の謎だけだ」
大野は腑に落ちないような表情をする。その表情とシンクロするように北条は語りかけた。
「謎は密室殺人だけではありません。鑑識作業の結果で謎は深まりました」
北条の報告で新たなる謎が浮上する。