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騎士学校の俺と俺だけの姫様  作者: スピキュール
呪われた巫女姫
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決意を込めて、不死鳥よ羽ばたけ

 「これは----」


 フェイトが現場へ着いた時に見たのは、惨状。その一言で言い表せる凄惨な現状だった。


 「酷い……」


 あちこち地面が隆起し、地を流して倒れている騎士もいれば、地に挟まれ今尚苦しむ魔法師の姿もある。

 八岐大蛇の足元にも数々の騎士が横たわっており、遠くからでは息をしているのかすら確認が出来ない。

 そんな中、フェイトが見知った人物----ルーファン隊長の姿を見つけた。



 「皆……本当に皆やられちまったのかよ」


 八岐大蛇を睨みつければ、八つの首の内四つまでが斬り落とされており、ここまでの激戦が見ただけで伺えた。

 だが、だが!!騎士団の大隊を投入して尚戦力を半減させるのが精一杯だったなんて……!!

 完全に計算違いだった、いい所まで競っているとは思っていたが、まさかここまで力の差があったなんて。


 (いや、今は悔んでいる場面じゃない)



 そしてフェイトは騎士団の大隊ですらとうとう適う事の無かった、八岐大蛇討伐へとたった一人で立ち向かう事となった。






 「次は貴様か?……ほほう、我が首の一つを退けてきたか、それは見事」


 現世に復活した首の一つはフェイト達で封印し、媒体となってしまったシキブを救い出すことにも成功した。

 そこだけ見れば大成功だと言える。


 だが、全体で見た場合の局所的勝利では何の意味も為さないということを理解している。

 フェイトがここで倒さねば八岐大蛇はふもとへと降り立ち、破壊の限りを尽くすだろう。

 一番近い騎士学校ナイツォブラウンドにも討伐命令が下るかもしれないが、現役騎士がいない学校の先生と生徒程度では足止めだって難しいはずだ。



 何より、その場にアマリリスも、レイもゲイトもピアも狩りだされると想像したら……

 その選択肢は許されない。フェイトに逃げも後退の文字も決して許されないのだ。



 スッとフェイトはブレイヴフェニックスを八岐大蛇へと向ける。

 真っ直ぐに剣を伸ばしたその姿は、正眼の形によく似ているが騎士であるならば見間違えない様だ。



 それはすなわち--



 「赤魔騎士フェイト・セーブ。ローウェン騎士団を滅ぼし、巫女姫シキブに害為し、留まらず破壊の限りを尽くさんとする貴様を絶対に許しはしない。

 我が全て、全身全霊を懸けて貴様をここで討ち果たす!!」



 騎士が敵と認めた敵に対して、名乗りを挙げ揺るがぬ覚悟を持って倒す決意の構え。

 それは守るべき者がいる騎士だからこそ、行わなければならない儀式であった。




 だが、その神聖な儀式は笑い声によってかき消される。


 「くっはははは、まさかこんな子供に首一つ取られたとはな……よほど媒体が悪かったのだろう」


 それは今までのなずなの覚悟、リードの友情全てを踏みにじり、シキブを苦しめた絶対に許せない発言だった。


 「八岐大蛇、お前に一つだけ言っておいてやる。……今の発言、もう謝っても許さないし、謝る言葉も出させない。

 ----往生しろ、今日この日甦った事を後悔させてやる」


 「くはははは、小さき人間に何が出来る?やってみろ、出来ねば死ぬだけだ!!」



 そして騎士団に向けて幾度も放たれた、つんざめく咆哮により、赤魔騎士フェイトと八岐大蛇の決戦の火蓋が切って落とされた。






 「出し惜しみはなしだ、アルテマ・ライフ!!」


 フェイトは十分距離を取っていたので、問答無用に自分の最強魔法をぶつける。


 「ぬ?」


 余りの魔力量、そして編み込まれた<ロア>により段違いの威力を発揮するフェイト最強の魔法に八岐大蛇も反応せざるを得ない。


 「グエアアアア」


 残った四つ首はそれぞれ炎を吐きだすと同時に、首を支える本体の胴から魔力が拡散する。

 そして炎のブレスは魔法師の上級火炎魔法を遥かに凌ぐ域にまで到達し、アルテマ・ライフと競り合おうとする。


 バシュン!!


 だが、アルテマ・ライフに競る事は一瞬たりとも叶わず、炎はあっという間に霧散すると突き抜けた青き極光が八岐大蛇を撃ち抜かんと激しくぶつかり、ついには撃ち飛ばした。


 「ぐおおお!!」


 悲鳴と共に宙に浮いた八岐大蛇は十メートル程飛ばされた所で、地面へと落ちた。


 「どうだ!!」




 勝ち誇るフェイトに対し、返ってきた言葉は酷く冷たいものだった。


 「……この程度か?」


 それは騎士団に向けた一言と同じ、自分には効いていないという証明だった。


 (いや、確かに効いてはいる。……だが)

 




 冷静に分析すれば分かるが、さしものアルテマ・ライフとはいえ八岐大蛇の火炎と魔力によって威力は減衰していた。

 そこにあの頑丈な竜の鱗があり、あの体格があれば確かにダメージは致命傷にはならない。


 今のような攻撃が後十度出来れば、八岐大蛇を倒す事だって可能だろう。

 だが----


 「フェイト、やはりあなたでは無理でしたか----」



 シンの言う通りだ。フェイトではアルテマ・ライフは撃てて三発。

 もし最初から何も防がれずに三度当てることが出来ていたならば、また戦局も変わったのかもしれないが、残り二回。

 ……もう、逆転の手は残されていなかった。




 「ふ、勇んだ割に息が上がっているな。よほど疲れる魔法なのだろう。そんな魔法を後何度撃てる?」


 見かけに騙されてはいけない、この竜は言語を解し、魔法を扱い、遥か古から存在している超常の生物なのだ。

 状況判断はひどく正確で、万一油断が手伝ったとしても首の一つ持っていかれるだけ、としか思っていないのだろう。

 それに、この怪物が首の数をあまり気にしていないのは、力を蓄えれば首の再生が出来るからに間違いない。

 現に神話では首を斬られているはずが、甦った時には完全な形で甦っているのだから。



 持久戦は不利、何よりフェイトに逃げは許されないのだ。

 絶対に勝つしかない。






 瞬間、八岐大蛇の魔力が高まり視界が一瞬揺れた。


 「地震です!フェイト空へ!」


 「リリアウト!!」


 素早く飛行魔法を唱え、局所地震をかわす。

 だが、続けざまに空中へ向けて炎が吐き出される。


 炎の厄介な所は範囲が広い点に尽きる。飛び火や空気のうねりによって予想もしない所まで炎は伸びて、フェイトを絡め取ろうとするのだ。

 

 出来るだけ遠くにいかないよう炎をかわし続けるが、炎は見境なく焼き払うためすでに木々が燃え広がり、林は無残にも焼かれている。

 そして、その中には騎士団がまだいるのだ。

 生きているものは、熱によって脱水を起こし、酸素が薄くなり、最悪炎に飲まれたり重度の障害が残る可能性もある。



 「ヤメロォ!!」


 フェイトが叫ぶと、笑い声だけが木霊した。


 「くははは、止めてもいいんだぞ?炎が嫌か、ならば----」





 八岐大蛇は今までのふざけたように見える態度を引っ込め、物言わぬまま魔力だけを高める。


 「…………まさか!!」


 「津波!?」


 フェイトとシンは同時にその考えに到った。

 既にシキブが呼びだした水は溢れる程存在しているし、ここは山の上だ。



 もし、もし高所から襲ってくる津波なんてものが存在したら----



 悪夢だった。町を焼き払うより簡単に、人のいた痕跡すら消し去る悪魔がここにいた。

 洪水を自由に操る水害の魔物。

 神話にあった洪水を今現代に甦り再現しようというのか。

 

 もう、フェイトには時間すら残されていなかった。






 「フェイト、話があります」


 シンがこんなに深刻に話しかけてくるなんて、初めてかもしれない。

 だけど奇遇かな、フェイトもシンに話があった。


 「俺もだ、シン」


 プログラムAIと少年騎士、二人には武器と人間、道具とマスター、残される者と旅立つ者で別れていたが、今、この時の気持ちは二人で一つだった。


 「フェイト、あなたには未来があります。……それでも、あなたは絶対に使うのでしょう?」


 それはシンから言える、最大最後の忠告だった。

 フェイトもそれを知っていて、否定する言葉を紡ぐ。


 「使うさ、けどな、俺だって本当は使いたくなかった……」


 「フェイト……」




 フェイトは涙を決して見せなかった。死ぬ事は本当に怖い、なずなも、ルーファンもアレクも、皆よく覚悟出来たものだ。

 死ぬということが、どれだけ恐ろしく、どれだけ怖いのかフェイトは今この時初めて知った。


 「でもな、俺、約束したんだ。シキブを守るって」


 それが一番大きな理由、だが今フェイトが怖がっているのは理由がそれだけではないからだ。


 「アイリス、父さん、母さん、ゲイト、ピア、レイ、ディーバ、アマリリス先輩、そしてリードと九行先輩。皆守りたいんだ」




 「いつか出逢う俺だけの姫様を守るため」





 その想いを常に胸に刻み、騎士学校で学び、出逢い、探してきたフェイト。

 いつしか、物語に憧れた理想のお姫様のためだけではなく、それと同じ位大切な人達も守りたいと思えるようになっていた。


 「俺?成長したのかな?」


 それはシンに始めて聞いた、答えを求める問いだった。

 その問いに、シンは間断なく即答する。


 「成長しました、守る人間がたった一人なんて子供のままです。人間は長い人生の中掛け替えのない人間に何人も出逢うのです。

 フェイト、あなたはそれを学んだ。--誇っていい」


 この捻くれものの機械にしては、素直に褒めてくれた。

 だからこそ、フェイトも涙を飲み込めた。


 「ありがと」



 フェイトは、覚悟を決めた。






 「もう時間がありません、始めましょう」


 シンに言われて、フェイトは大きく息を吸い込んだ。


 「フェイト・セーブ。この名を与えてくれた両親に感謝します」


 そして大きく息を吐き出し、最終トリガーを告げた。



 「勇気よ----甦れ!!!!」



■■■■■■




 八岐大蛇が頭上の変化に気付いたのは、偶然では無かった。

 もはや魔力を高めるだけ高め、解き放てば水害の魔物の名を冠した伝説と同じように、大洪水が町を瞬時に飲み込む。



 だからこそ、頭上にいる人間は何か仕掛けてくるだろうと予感はあった。

 先ほどの魔法か?だが、それならば青き極光を放っているはず。

 あの魔法は確かに脅威だが、致命とは思えない。

 だが、あの魔法以上を小さき人間が持っているとも思えない。



 それなのに、この威圧感はなんだ?

 この伝説とまで呼ばれる八岐大蛇が見下されるような、神にも等しき圧倒的な絶対は?

 八つの眼が同時に空中の少年を見つめる。



 そこに映しだされていたのは----






 「うおおおおおおおおお!!!!!!」


 フェイトはまず自分の持つ魔力の全て、本当に空になりもう二度と使えなくなる覚悟で全てを絞りだす。

 <ロア>の生命エネルギーにも似た膨大に溢れだす深紅の魔力が、フェイトの左半身に全て誘導される。


 「があああああああああ!!!!!!」



 そしてフェイトは自分の命を削り、<エデン>という種として運命を背負った最高の命の源泉から、枯れてなくなるまで全ての<ロア>を引き出し右半身に溜める。



 「開け----不死鳥の片翼!!魔力と<ロア>により神の遣いを地上へと生み落とせ!!」



 フェイトの左半身に誘導された全魔力が、フェイトの左肩より真の緋色の翼を生やす。



 「刻め----不死鳥の片翼!!生まれ落ちた不死鳥にとっておきの名前をくれてやる!!」



 フェイトの右半身に溜められた全<ロア>がブレイヴフェニックスに流れ込み、白銀の剣が真なる光に昇華する。

 フェイトが右手に構えたブレイヴフェニックスを右肩へと供えると、光の剣は光の翼へと姿を変えた。




 「お前の名前はセイヴ・ザ・フェニックス!!全てを守る、勇気の不死鳥だ!!!!」






 フェイトを捉えた八岐大蛇の八つの眼には、圧倒的な姿だけが映し出されていた。

 片方は緋色、片方は光色、不死鳥であるならば両翼共に緋色であるべきが、片翼が光のために両の翼が緋色であるよりも雄々しく、神々しく、圧倒的に映える。



 緋色の翼は光に照らされ炎より幻想的に煌く。

 光色の翼は緋色に照らされその存在が奇跡と示す。



 その両翼は緋色であり、光色であるにも関わらず、黄金にも、プリズムにも、空白にも見える。




 奇跡の不死鳥、この世界にもどの世界にもいない空想の不死鳥を、この小さな人間----

 いや、赤魔騎士はその意志と覚悟と夢の下、光臨させたのだ。

 

 あまりにもバカげた、スケールの大きすぎる話。

 この瞬間、八岐大蛇は自分が物語の脇役でしかないことを悟った。






 だが、脇役でも悪役でも舞台に立たされているのならば最後まで全力で足掻いてやろう。

 もはや立場は向こうが格上だが、自分も負けるつもりはない。

 伝説と呼ばれた八岐大蛇は最後の最後に、最悪の魔法をついに解き放った。


 「タイダルウェイブ!!!!」


 今まで高めてきた魔力全てを解放して、溢れだす水に更にかき集めた膨大な水を津波として山の麓へ向けて解き放った。





 「無駄だ」


 先ほどまで空中にいたフェイトは、誰の目にも映らない光の速度にて空から地上へと降りていた。

 その速度は、八岐大蛇の八つの眼を持ってしても見失う程に。



 そして地上に降りたフェイトは津波を見据え、左の片翼を大きく広げた。

 超高温の緋色の翼は津波となって襲いかかる悪魔の水の暴力すら意に介さず、壁とも呼べる程の水全てを蒸発させた。


 「バカな!!?」



 驚愕は八岐大蛇のもの、そしてフェイトは無表情のまま標的を見据える。

 緋色の翼は無駄な破壊を一切せずに、津波の水だけを蒸発させ、周りの木々は高温だからといって決して燃えたりもしない。


 そんな絶技も奇跡の不死鳥の力の一端でしかない。

 あまりの不快さにフェイトを憤怒の形相で睨む八岐大蛇だったが--

 再び八岐大蛇は視界に捉えていたはずの、フェイトを見失った。


 「ここだ」


 六つの眼は自分の真上に飛んでいるフェイトを見つけ、威嚇するように睨もうとする。

 だが、自分の眼が二つ足りない事に気付いたのは斬られてから大分後のことだった。


 「ぐああああ!!」


 <ロア>を極限まで集中させた不死鳥の片翼は、まるでそこには何も無かったかのように恐ろしい程鋭利な切り口で八岐大蛇の首を斬り落としていた。







 「バ、バカな!!こんな……こんなことがあるはずがない!!!!」


 自分が見切れない程速く移動し、自慢の鱗ですら空を切り裂くようアッサリと斬っていく斬撃。全力の魔力で放った津波ですら片翼の羽ばたきで霧散する。



 それはどうみても自分よりも怪物、化物と評されても仕方がないと思える程に圧倒的だった。

 どうすれば逃げられる?どうすれば死なずにいられる?

 圧倒的だったはずの神話の怪獣は、もはや狩られる側の弱者でしかなかった。





 フェイトは真上から八岐大蛇を見下す、いや見下してはいない。

 フェイトの考えの中にはもう八岐大蛇は存在すらしていなかった。

 今自分の中にあるのはひたすらに懺悔であった。

 家族に、仲間に、友達に、僅かでも出逢えた姫達に。


 「終わらせよう」


 自分が燃え尽きる前に、フェイトは残された命で終焉を奏でる。





 ヒュッ


 その風を切る音と共にフェイトは遥か遠くまで離れた地上に着地し、それに遅れて大きな落下物が地面に落ちる音がする。

 残った四つの眼は愚鈍な程に、フェイトを捉えることが出来ていない。


 「こんなものが……こんな力が----!!!!」


 フェイトの声には震えが混じる。それはこの本物であり、偽物である力に対しての嘆きであった。

 フェイトは再び消える。今度現れたのは八岐大蛇の真下だった。


 「正義であってたまるかぁーー!!!!」


 光の片翼は八岐大蛇を切り裂くことなく、空中へとその巨体を軽々と跳ね上げる。


 「ぐはあああ!!」




 あまりの威力に咆哮と同じような悲鳴でのたうつが、それもフェイトの耳には風と同じように聴き流される。

 血を吐き、自らの首が幾つも落とされ既に八岐大蛇にはリカバーしきれないダメージが蓄積されいる。



 そして次が最後の一撃であると、八岐大蛇は確信した。

 自分も仮にも伝説の生物、それ位の予感は備わっている。

 生命の防衛本能に基づき、渾身の炎を吐きだすと同時に、鋼より固い鱗に纏われた鞭のようにしなる最強の一撃を振り下ろす。






 予想通りフェイトは空中へと追って来ており、生存本能にかけた最強最後の一撃が不死鳥にぶつかる----

 八岐大蛇と不死鳥の伝説を上書きするような、天地の衝突。



 だが、誰もが予想した結果しか現実はもたらさなかった。

 火炎は上位の緋色の翼に無力化され、全力で振り下ろした首は光の翼に音も無く斬り払われる。

 追撃を仕掛けたフェイトはそれで止まる訳がない、止めの一撃まで容赦なく下される。

 残された最後の首は、言葉を発するしか無かった。




 「何故だ……何故貴様は命を捨てる!何故貴様はそれほどの力がある!!!!」


 その問いに、フェイトは最後の慈悲を持って答えた。


 「お前は俺の逆鱗に触れた。そしてこの力は--守りたいという意志、守るという覚悟、大切な者を守るためだけの断りの力だ!!!!」



 「消えろ、二度と手を出すな!!!!」





 フェイトは空中に投げだされた哀れな蛇に、運命の終わりを告げる----

 


 「セイヴ・オブ・フェニックス!!!!」






 その夜、満月に照らされる中

 月より輝き、星のように瞬いた不死鳥を絶対に忘れない。

 轟音と共に夜空を焼き尽くした緋色の不死鳥の姿は明け方になっても、その形が損なわれなかったという。

 


 その夜空を見た人達はこう答えたという。



 まるで不死鳥の花火だったと

 

 不死鳥の最後の叫びだったと


 不死鳥の命そのものだったと





 人知れず世界の脅威と戦ってくれた、人類の守り神だったと。



 だが、不死鳥と呼ばず、代わりにこう力の限り叫んだ者達は確かにこの世界にいたのだ。


 「フェイトォーーーーーーーー!!!!!!」



 その絶叫が、その願いが少年に届くことは無かった----

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