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騎士学校の俺と俺だけの姫様  作者: スピキュール
呪われた巫女姫
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巫女姫シキブ

 あまりの爆発に心底驚いていた。

 もしあれが糸筋程の矢ではなく、もっと束ねた最大威力で放ったのならば?

 その威力は自分の最高魔法「アルテマ・ライフ」を凌ぐかもしれない。

 あまりの出来ごとに放心しそうな心を叱咤し、何とか視線を九行に戻す。


 「……分かりました、見事な威力です」


 謙遜も何もなく率直な感想で答えるが、その回答には表情を引き締めるだけだった。


 「この威力、神獣レベルに通用するか?」

 

 九行の問い掛けはとても鋭く、再び言葉に詰まってしまう。

 代わりに答えたのはシンだった。


 「通じませんね、ダメージソースにはなりますが、止めたらん威力には届きません。

 フェイトの証言から照らし合わせたアルト王のエクスカリバーは、恐らく九行の全力の更に十数倍。召喚獣や神獣クラスを消し去る力はあなた達にはありません」




 シンの回答は残酷なものだった。……いや、九行先輩も知って言っていたに違いない。

 自分を過信し過ぎない見事な見極め、精神的な強さを持っている人だ。


 「だろうな、私もフェイトのアルテマ・ライフは直に見た人間だ。誇張抜きであれと同程度が最高だと思っている」


 つまり、フェイトと合わせればアルテマ・ライフ2発分のダメージソースはあるわけだ。

 問題は、例えていうならばヘカントケイルをアルテマ・ライフ2発で落とせるか、というと答えはNoだ。


 「私の計算であれば、相手にダメージを与えられる確率は99%です。しかし、倒し切れるかは、1%未満でしょうか」





 確率が上がった?

 0から1。可能性無しから可能性有りへ。

 小さいようで大きな変化が確かに生まれた。


 「フェイト、あなたは調子に乗り易いから言っておきますが、100回試して1回しか勝てないんじゃ命が後100個いるんですからね」


 呆れ口調のシンだが、今日はずっと心配モードなのだろう。どこかハラハラしている気がする。


 「まあ九行先輩の技は心強いものです。問題は後の残り99%をどう埋めるか----」


 「埋まらないわ」


 そう口を挟むのは、予想通りシキブだ。


 「シキブ?ダメじゃない、こんな所まで出歩いて。眠っていなくちゃ」


 「なずな、そもそもあなたが起こして、しかも轟音を立てるから眠れなくなったんでしょうが。全く」


 シキブの口調はやはりフェイトに向けるのとは違って、優しいものだ。




 「それで、言うけれど私も竜の巫女としてそれはもう大層な魔力を持っているわ。なずなが見せたような大技を私も撃てるわ」


 今日はなんて日だ、自分が4年掛けて創り上げた禁呪にも等しい最強魔法と、同程度の威力を出せると豪語する人物が二人も現れるとは……

 さすがに凹みたくなる、これじゃ騎士より強いんじゃないかこの二人。


 「ふむ、それなら勝率の計算をし直して……大体6%程でしょうか」


 上がってるよ、確実に上がってますよ数値が。


 「それにアマリリスの全力の<ロア>に剣技で指向性を与えれば、更に勝率が15%に上がります」


 ……魅力的な提案だが、アマリリス先輩まで巻き込む訳にはいかない。

 それに内密にと言われたばかりだ。





 ?そういえば竜の巫女ってなんだろ?


 「あのシキブ姫、竜の巫女とは?」


 気になって質問したものの、


 「なずな、もう寝たいから静かにして頂戴。--それと後で必ず部屋に来てよね」


 あ、可愛い。初めて照れた表情を見た気がする、ずっと不機嫌そうな顔してたからそんな表情が出来るとは思わなかった。

 --無視されたのはこの際棚上げだ。


 「……それと、そこのフェイト・セーブ。今変な感想抱かなかったでしょうね?」


 えっ?あれ?なんかもの凄く睨まれているんですけど、なんででしょう?


 「まさか、滅相もございません」


 恭しく礼を取るフェイト。……うん、対応としてはこれで間違いない。

 ハァ、と大きくため息がつかれるが気付かなかった事にしておこう。


 「……逃げる気がないなら明日昼間時間を空けておきなさい。迷惑だけど聞きたいなら話してあげるから」


 シキブさん?貴女はなぜそんなにツンデレっぽいんですか。


 「それとなずな、折角のお客様なんだから客間でも使わせておきなさい、帰したら我が家の品位が問われるわ」


 そう言い残して去っていくシキブ。





 「あの、シキブ姫ってとてもいい人ですか?」


 そんなフェイトの質問に、九行は笑って答える。


 「勿論だ、あんなに良い子だから……助けてあげたいんだ」


 その気持ちは痛いほど分かった。しかし、今はまず情報も少ないし案内されるがまま客間に泊らせてもらうことにした。






 既に4時過ぎだったため、2時間程の睡眠で朝練のため起きる事となる。


 「……眠い」


 「おはようございます、フェイト。別に休んでてもいいんですよ?」


 シンの気遣いはありがたいが、サボってしまうとどうにも落ち着かない。


 「やるよ~ってもカウントはサボるからシン数えておいて」


 「はいはい、いつも通り二千回ですね」


 こうして寝ぼけ眼をこすりながらも、早朝訓練は始まった。





 境内にて素振りをしようかと思っていると、すでに先客がいた。


 「おはようございます、九行先輩」


 そう挨拶すると、先輩も答えてくれた。


 「おはよう、フェイト。なんだ、君も朝が早いな」


 「お互い様ですよ、昨日全然寝てないんじゃないですか?」


 「ははっ、日常茶飯事だよ。それに昼間に少し仮眠を取ったりしている、問題はないさ」


 まあ大丈夫だと言い張るのならば大丈夫だろう。どうせ騎士学校に通っている人達はこんな寝不足当たり前なのだ。



 「じゃあ俺はあっちで素振りやってます」


 「そうだな、私の素振りは幾分幅を取ってしまうからな、離れてもらった方が助かる」


 「では後ほど~」


 フェイトは欠伸を噛み殺すことも出来ず、そのまま大口を開けて体内の空気を入れ替える。


 「全くだらしないですよ?九行だって女の子なんですからね?」


 言外に姫以外女の子扱いしてない、と責めている気がするが気のせいだろう。

 フェイトも素振りを開始することにした。






 しばらくして、日課が終わると九行の方から声を掛けてきてくれた。


 「フェイト終わりか?ならば朝食を取ろう、そろそろ出来上がる頃でな和食となるがいいか?」


 確認を取ってもらうのは構わないが、ここで帰ったらむしろ失礼だろう。美味しくいただこう


 「いただきます」


 「よし、場所はこっちだ」


 案内されると、広い大広間のような場所に通された。

 住み込みの住職等はいないらしく、既に座っていたシキブと恐らく両親の方々だけだろう。


 「お母さん、お父さん、紹介します。フェイト・セーブ1年生、私の知り合いで見学に来たいとのことで来てもらいました」


 「ただいまご紹介に預かりましたフェイト・セーブと申します。騎士学校ナイツォブラウンド所属で、九行先輩には色々とお世話になっております。

 この度はご朝食までいただくことになってしまい、誠に厚かましいことこの上なく申し訳ない」


 「はは、礼儀正しい子だね。でもそんな固くならないでいいさ。なずなが連れてきた珍しい友達なんだ、歓迎させてくれ」





 そう、優しい顔で微笑む父親はとても優しげだった。

 羨ましい限りだ、どっかのマッドサイエンティストの父親にも見習わせたい。


 「僕がタカユキ、妻のシキカだ」


 「ええ、たくさん作ってあるから一杯食べてね。おかわりもたくさんあるから」


 「ありがとうございます」


 何故か一人ブスっとした顔でこちらに目を合わせてくれないのは、シキブだった。


 「ほらシキブ、シキブも挨拶しないか」


 タカユキが注意するが、シキブはそっぽを向いたままだ。

 あーー本格的に嫌われてそうだなあ。



 「いや、娘が申し訳ない。まあ食事が冷めてしまう、温かい内に頂こう。いただきます」


 『いただきます』






 それから食事は和やかに進み、思わずご飯を二杯もお代わりしてしまった。

 丁度食べきってくれてありがたかったわ、とシキカさんに言われたので結果オーライだ。

 その後指定された昼まで時間があるので、何かしておこうかと思ったが訓練以外思いつかなかった。

 ……これが騎士学生の悲しい定めか。

 そんな訳で折角だから林の中で訓練しようかと思っていたが、そんな折に部屋の扉が開かれた。



 「やれやれ、時間が出来ちゃったから早めにきたけど都合悪い?悪いなら私帰るけど」


 そんな不機嫌全開で姫が在らせられた。

 出迎えない訳にもいかないので、それはもう大層丁寧に出迎えましたよ。


 「巫女姫シキブ様、わざわざ御足労頂くとは恐悦至極に存じ上げます」


 いくらなんでも畳の部屋でこう毎度毎度騎士の礼を取ると言うのは、いささか格好が付かないんで止めたいがそうも言ってられない。

 根負けしたかのように、ため息だけ残して部屋の中を勝手知ったる我が物顔で歩き座布団に座る。


 「さて、もう一回質問。フェイト・セーブ、あなた手を引く気はないの?私だって鬼じゃないわ、あなたの気が変わったんならすぐにでも帰してあげる。

 そもそも本当に封印が抑えられなかったら軍隊が動く訳だし、心配なんか--」


 「心配ですよ」



 シキブの声を遮る形だが、言わせてもらうことにする。


 「私より三つ上のシキブ様にこう仰るのは、御無礼を承知で申し上げたいからに相違ありません。

 私は、貴女様の御心を救いたいのです。結果として八岐大蛇と戦うのは致し方ありません、私にとって目的は八岐大蛇の退治ではなく、貴女様の重荷を僅かでも負担出来ればと、その考えに尽きております」



 「……なによ、格好つけちゃって……。ふんだ、バカ。どうなっても知らないんだからね」


 またシキブ姫の照れた顔が見れた所で満足したフェイトだったが、そうは問屋が卸さなかった。


 「やっぱりフェイトは騎士として減点ね、護衛対象の姫を欲望の眼差しで見つめるなんて無礼許さないんだから」



 結局、怒られてしまった。






 話を元に戻すと、今から話してくれるのは昨日とはまた違う話のようだ。


 「今から話す話しは昨日の続きでもあって、続きではないわ。ただの知識、知りたいっていうから教えるだけなんだからね」


 うーん、なんでこんな古風のテンプレツンデレなんだろう?

 いや、素なのかな?素だったらそれはそれで問題なんだろうけど。


 「なずなは席を外しているけど、私に襲いかからないでね」


 まさかの釘刺しだった、というか


 「しねえよ!?騎士をなんだと思っている!?」


 つい、本音が出ちゃいました。

 ごめんなさい、未熟者です。よっぽど高貴な人に気を使っているような神経尖らせた状況だったらともかく。

 

 畳の上、一緒に朝食を取った仲、そして向こうがテンプレツンデレ。

 なんかこう、姫というより庶民派だと思ってしまうのも無理はあるまい。






 だが、予想外にシキブは笑い始めてしまった。


 「っくすくす、あんたほんっとバカね。もう素が出てボロ出てるじゃない、少年、努力が足りないぞ」


 く、くっそー悔しいけど言い返せない。なんだこの巫女姫!?


 「……申し訳ありませぬ、シキブ様。これも私の平素よりの鍛錬が足りぬ証拠、以後精進いたしますので、この場は何卒ご容赦を」


 「いやよ」



 ……どうすりゃいいんだよ。


 「聞こえなかったの、イ・ヤ。私に対してそんな口調を使わないで、かったるくてしょうがないから」


 これって、ようするに普段通りで話しかけろと?


 「私はね、特別扱いされたい訳じゃないの。……それにあんたが言った通り誰かに荷物を持ってもらいたいだけのただの臆病者。そもそもあんたが尽くす価値があるかどうかすら--」


 「ありますよ」


 また、遮ってしまったがもういいだろう。


 「あります、シキブは今までもの凄く苦しんできた、話を聞いただけで分かった気になるな、って言われるかもしれないけど、それでも分かる。

 ……あんな儀式を続けてきたシキブが守られる価値が無いなんて世界の誰にも言わせない!!それと同時に臆病者だとも思わない、俺は----世界でも類を見ない程格好いいと、思う」




 最後の方はちょっと照れが残ってしまい、言いきるには勢いが足りなかったが多分伝わっただろう。

 ようやくシキブはこっちをちゃんと見てくれるようになったのだから。



 「分かったわ、それじゃ話すわよ」


 先ほどまでのおふざけは終わり、真剣に聞くべき話しが語られた。



■■■■■■




 まず竜の巫女とは?

 それは八岐大蛇の血を飲み、魔力が高まった巫女の事を広義には指す。

 だが、本当の意味で使われているのは、八岐大蛇、つまり竜の血が人間の血と混ざりあっていつからか人間の血だけでは説明出来ないものになったからだ。

 最初の頃はとても薄く、影響も無かったようだが次第に竜の血は濃くなり数世代前ではハーフと呼べる程血が濃くなっていたそうだ。

 そしてピークを迎えている今は、ハーフどころか八岐大蛇そのものと言っていいほど竜の血が濃くなっている。

 だからこそ、封印しているつもりが実は封印をこじ開けていた、という結果に繋がってくるのだ。

 



 ちなみにシキブが言うには、竜の血が濃いとはいえ見た目は人間だから問題ないという。

 特徴としては、傷の治りが早い、やたらと高い魔力を保有している、運動能力も向上した。等とメリットも認められる。

 反対にデメリットとしては、極稀に強い殺意の波動に思考が焼かれる時がある、血が冷たくなる、身体がアレルギーを起こしてたまに皮膚が千切れる、といった所だ。

 また、余談として洪水の邪神だったためか霊力によって操れるのは水が主流だそうだ。






 「ここからが重要」


 そう前置きして話された内容は、神社についてだった。

 何故九頭竜神社と名付けられているか?

 八岐大蛇を封じたのであれば八頭竜神社とでもすればいいものを。

 

 その理由はこうだ。



 竜の血が濃くなりすぎた巫女は、すでに八岐大蛇として見なすものだということだった。



 「な、納得いかねえよ!!」


 フェイトがまた感情に任せ爆発しそうになるが、首筋に鉄扇を突きつけられ大人しく座る。






 八岐大蛇は失った首を求めている、そして新たに自分の首となったシキブも狙っているという。

 実際シキブを食べた所で首が九つになる訳でもないが、確実にこの魔力と生命力を取り込めば余計に力強くなることだけは間違いない。

 それこそ九頭竜の誕生となる。

 何故、先祖がすでにこれを見越して神社の名前を付けていたかは語られていないが、それに関しても策はない。





 これで竜の巫女については分かったが、ここから先が肝心だった。

 八岐大蛇は親切にも、復活の月を告げてくれたそうだ。


 「三月後の新月の夜、我は復活を果たそう。楽しみにしているぞ、小娘。我が首よ、今喰ってやるからな、と」


 信じられない化物だ、時間まで予告するなんて止められるものなら止めてみろと言っているようなものだ。

 --しかしそれでも勝てるかどうか。





 と、ここまで黙っていたシンが声を上げる。


 「シキブ、月日まで分かっているなら私は知らせる事を提案します。フェイトがあなたを支えたいと言うのはもう目を瞑りましょう。

 でも百歩譲ってそれはOKしても、復活の月日まで分かっているのに国に頼らない姿勢は評価出来ません。あなたの判断は冷静さを欠いた子供のものです」



 かなりキツイ一言を言うが、正論でもあった。

 これに関してシキブは言う事がないのか、素直に認めた上で無言を貫いた。


 「では話はまとまりましたね?フェイト、あなたは教師に連絡を取って国王へ直訴。その後の事はご自分での判断で」


 ……シンの言う事に頷いていいのだろうか?シキブがここまで毛嫌いしてしまった軍隊を頼ってしまっては、守ると言っても今後近寄る事すら許されないだろう。

 もし本当にシキブの重荷を背負うのならば、間違った道と知りつつもこう答える他ない。


 「分かった、俺はシキブが嫌がる限り国王への直訴はしない」


 「フェイト!?」





 もはやシンが切実に、もう絶対に引かないとばかりに声を荒げる。


 「あなたは履き違えている!私は絶対に賛同しません、これは譲歩も無しです。これ以上無茶な事を言うなら強行手段に打って出ますよ」


 シンが言うのは、家族間へ送れるメールの事だろうか?しかし、それをされてはダメだ。


 「シン止めてくれ」


 「止めません、フェイト思い留まって。もしあなたが私を握り潰すつもりでも、私はその前にハッキングを仕掛け国王へメッセージを転送します」


 「シン!?」



 「……あのね、そういう内輪もめは私がいない所でやってくれない?」






 ふと振り返ると、目を瞑ったままこちらに怒気だけ向けているシキブの姿があった。


 「別に突っ走んなくていいわよ。それにどうしたってそこのヘンチクリンなコンピュータに主導権を握られて、国王に知られるのは避けられない。

 ……それなら通報しなさいよ、もうどうでもいいわ」


 もう話す事は全て終えていたのか、それともこちらに愛想を尽かしたのか、シキブは席を立ちこちらを一瞥もしないで出て行ってしまった。


 「あ……」


 引き留める言葉を持たず、フェイトはその場に置き去りにされた。





 しばらくすると、シンの方から言葉を掛けてくる。


 「フェイト、あなたも一度頭を冷やしてみてはいかが?冷静さを欠くのはあなたの欠点でもあります。誰かのために行動出来るのは美徳ですが、そのために状況判断を誤るのは百害あって一利なしです。

 努々お忘れなきよう」


 そう言い残すと、シンは休眠モードに入ってしまう。……これ以上話す事はない、ってことか。

 フェイトも確かにカッとなって言っていた場面がある、と思う。

 確かに冷静になってみればその場の勢いだ、どう見てもシンが正論でもある。


 「でも、それじゃ誰が助けられるんだよ----」


 フェイトの求める答えに誰も答えられないまま、時間だけが流れていった。






 お昼まで御馳走になる訳にもいかず、フェイトは家に帰ってから考えを纏めようと思い外に出たが、そこで意外な人物と顔を合わせる。


 「リード!リードじゃないか!!久しぶり」


 魔法学校に通う同い年の天才魔法少女、リード・ロードだった。


 「フェイト、久しぶり」


 向こうも向こうでこちらに気付いて、トテトテとまるで小さな子供が親に駆け寄るかのように小走りに走り出す。


 「元気だったか?っていうかリードここに住んでるんだってな?」


 フェイトの矢継ぎ早の質問に、


 「うん、ここに、しばらく居る。シキブ、可哀想」


 「そっか、リードも聡いもんな。……じゃああの話しも聞いたのか?」


 「八岐大蛇?」




 やはり聞いていたらしい。……しかし、どうしたものか。


 「リードは友達でいてやってくれ。……八岐大蛇がいざ出てきた時は、軍が対処する」


 だが、その言葉に首を傾げるのはリードだった。


 「??。軍隊?私、自分で、シキブ、助けたい」


 リードの言う事に賛同したくなる自分が確かに存在するが、それは許されないハズだ。


 「リード、相手は神話クラスの化物だ。いくらなんでも学生じゃ----」


 「フェイトは、シキブ、見捨てる、の?」





 ------!!

 その言葉は胸の奥にしまいこもうとしていた、激情を容易く面に吐き出させた。


 「見捨てたくないよ!!俺、俺、シキブを助けたいんだっ--」


 まるで血を吐き、涙を流すように苦悶の声で心の叫びを全て吐きだした。

 リードはそれを眺めていると、


 「私、助ける、よ。シキブも、なずなも、友達。……フェイトも、友達」


 その通りだ、やっぱり正論に逃げるなんてらしくない。

 国王への連絡は絶対かもしれないけど、助けたいって気持ちまで抑え込む必要ないんだ。


 「決めた、リード二人でシキブを助けよう。絶対にだ!」


 「うんっ!!」


 リードの笑顔はとても明るく、さっきまで重い気持ちが救われたようだ。

 まだ策も何も固まっていないが、三ヶ月の間、やれるだけの事はやろう。



 フェイトはこの瞬間、間違った選択を自分の道とした------

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