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第1話 アルフレッド・デリンジャーの経歴 part1

アルフレッド・デリンジャーは魔法とルーンの独占販売で成り上がった。


アルは十数年前ではケチな強盗犯でしかなかった。シンジケートの末端でしかなかったアルは荷馬車を襲う事が仕事だった。そんな中でアルが頭角を現すきっかけになったのはある貴族の屋敷に強盗に入った事だった。


その日はその屋敷の貴族の祖母が亡くなった事で葬式が行われていた。その亡くなった彼女は生前国の大臣の補佐として働いていた事があり、国のお偉方とその護衛が葬式に参列していた。屋敷は人が出払っていて、簡単に金目のモノを強奪する事ができるはずだった。


強盗仲間のジャッキーは屋敷に人がいない事を外から確認すると、屋敷に侵入した。屋敷はしんと静まり返ってアルとジャッキーの足音だけがやけに大きく響く。屋敷は広く、過度に装飾された家具が広間に置いてあったがどこか寂し気に覚えた。


アルと仲間は広間で別れると各部屋を漁り始めた。アルが入った貴族の妻の部屋では宝石のついたネックレスや絹で出来たドレスが見つかった。それをアルは持ってきた袋の中に次々と入れていく。時たま奇妙な文字のような物が書かれた石が見つかったがアルにはそれがわからなかった。

その時、部屋のドアが開いた。

ドアを開けたのはジャッキーではなく、白髪頭の初老の男だった。


「誰だ。」

初老の男はアルを見ると驚いた様子を見せたが、すぐにその態度を改めた。アルは腰につけていたブラックジャックを手に取ると初老の男に近づいた。強盗に入って家の人間に見つかる何て不運はある事だ。しかも相手は丸腰のおやじに過ぎない。なんの問題もない。


「誰だ。」

初老の男はアルが近づいてくるのを見ると、小さく何かを呟いて両手を顔の前に出して顔を覆った。

突然アルの目の前で何もない空間から光が炸裂し、それは爆発に変わった。

アルは部屋の反対側まで吹き飛ばされて床にうずくまった。


「どうした!」

音を聞きつけジャッキーが部屋まで駆け付けた。初老の男はジャッキーを見るとまた何かを呟くと空気が爆発と変わり、ジャッキーをはじき飛ばした。アルとジャッキーは床に丸くなり、ジャッキーの口からは血がたれていた。

「泥棒どもが。さっさと出ていけ。」

初老の男はそう言うとその場を後にした。



ジャッキーはこの出来事を仲間に話すときあの爆発を奇跡だと話した。この話のおかげでジャッキーはしばらく仲間から英雄視され酒に困る事はなくなった。ジャッキーとその話を聞いた仲間たちはあの爆発を神の御業として受け入れたが、アルただ一人はあれが魔法である事に気付いた。それはアルが元はこの世界の人間ではないからだ。

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