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(はぁ……、昨日ちょっと遅くまでやりすぎたな)


 昨日、久々に今村とコラボのゲーム配信をした。


 人気ゲームの最新作が出て、二人してハマってしまったのだ。ゲームの話で盛り上がって、『一緒に配信しねぇ?』と今村に言われて、急遽コラボ配信をしたのだけれど、人気のゲームだからか視聴してくれる人が多くて、今村も鈴木もテンションが上がってしまったのだ。


 結果、0時近くまでゲームをしてしまって、少々寝不足である。


(まあ、親がいないのはやりやすいよな)


 鈴木の両親は共働きだ。二人とも飲食のサービス業だから、週末はほとんど家にいない。鈴木が小さい頃は母親は家にいたのだけど、今年になって母親も仕事に行くようになった。


 小さい子供ではないし、まして鈴木は男だ。


 一人で留守番させても問題ないと思っているのだろう。どちらかと言えば、バイトをしろと言われるくらいだ。


 ただ、バイトに行くよりも配信しているほうが稼げるのも事実である。両親にはチラッと言ってみたが、よくわからないからなのか理解は得られなかった。


 二人とも家にいないから、遅くまで配信していても何か言われるわけではないし、配信する日は『部屋に来ないで』と言っているから、邪魔が入ることはない。


「ふぁっ……、ねむ……」


 腹がいっぱいになると余計に睡魔が襲ってくる。午後の授業が始まるまで、少しだけ昼寝でもしようかと机に突っ伏した。


「ゆーり、何してんの? ……あ、ゲーム配信? 結構面白いよね?」

「うん」

「何のゲーム?」


 うとうととしていたら、相川と高野の話し声が聞こえてきた。『ゲーム配信』という言葉を聞いて、なんとなく気になり、聞き耳を立てる。


(高野さん、ゲーム配信とか見るんだ。まあ、いろいろあるもんな)


 同じクラスにはいるけれど、関わることなんてほとんどないから、当たり前だけれど、高野たちが何に興味があるのか知らない。ただ、勝手に二人みたいな日常がキラキラしている人たちは、外に出かけて遊んでいる、そういうイメージだった。


「なんか、間違い探しみたいなやつ」

「あー、これ知ってる。誰の配信?」

「村田って人」

「その人知ってる。何個も配信してるよね?」


(……え? ムラタ?)


 『ムラタ』というのは、今村が配信するときに使っている名前だ。よくある名前だけれど、ゲーム配信者で『ムラタ』という名前を使っている人を鈴木は他に知らない。


 驚いて顔を上げそうになったが、グッと堪えて寝たふりを続ける。相川が「誰かとコラボしてなかったっけ?」と言った声が聞こえたからだ。


「あ、そうそう、この間『サク』って人とやってたの見た。『サク』のチャンネルもあるみたいだけど……」

「うん。台本読んでるね」


(ええ! 嘘だろ? そっちも知ってんの?)


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