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ヨミと美夜



醜悪を探そうと、ヨミは門を開けた。



醜悪から逃れようと、美夜は夢に落ちた。




ヨミは、門の先で倒れている少女を見つけた。



美夜は、ヨミに起こされて目を開いた。



ヨミは美夜の顔を見て驚く。



その少女の右目は赤く濁っていて、右耳はまるで餃子のように潰れている。



右手は少しだけ震えていて、身体を支えるのが大変そうだ。




美夜はヨミを見上げると、(じれ)ったそうな顔をした。



扉から入ってくる七色の光や花達の歌声も邪魔なのか、怪訝な顔をした。




ヨミはふと口を開く。



「・・・貴女美夜ちゃん、だよね。」



美夜はこっちを見ることもなく言う。



「だからなに。」



「私は貴女を見ていたよ。」



美夜は口を開くのも面倒くさそうにしながら話す。



「そうなんだ。」



「あちゃ。貴女に会う為にこの扉を開いたのに。」



「・・・」



「貴女がこっちに来る可能性は考慮していなかったな。」



美夜はついに返答をしなくなった。



「美夜、顔をよく見せて。」



ヨミが美夜の顔に触ろうとした瞬間、美夜は私の手を弾き叫んだ。



「なんで夢まで私のことを寝させてくれないの?静かにしてよ。」



ヨミはそれに対し答える。



「美夜。この世界は貴女の夢と繋がっただけで、ここは夢の世界じゃない。」



はぁ?と美夜は答えた。



「・・・あー、つまり貴女が作り出した空間じゃなく・・・」



「そんなのどうでもいいよ。1人にさせて。」




「美夜。私は貴女を時折眺めていたんだ。貴女はあの世界が嫌なんでしょう?」



続けてヨミが美夜に告げる。



「なら、貴女の身体を私に少し貸してくれないか?」



美夜は身体を動かすこともなく答える。



「いいよ。」



ヨミは続け様に話しかける。



「私が外に行くためには身体が必要で、美夜は美夜で元の世界は嫌そうだし・・・」



そしてヨミの発言は止まり、数秒前の美夜の発言を思い返して驚いた。



「ええ?そんな即答できるものなのか?リスクとか考えない?」



こういう場合、魂が消滅するとかあるあるだよ?と続けていうが美夜はもう動かない。



「え、美夜?生きてる、よね。」



「あー、もう。話す暇あるなら早く私の身体どうこうして1人にさせてよ。」



美夜が手足をバタつかせる。



「私の魂が消えるとか別にいいし、同じ身体になるとかでもいいし、私がこの空間に閉じ込められて永遠に1人とかでもいいし。」



美夜は早くしろ、とばたばた叫んでいる。



「身体を借りてもそんな事にはならないよ。美夜は美夜でこの世界で少し遊んでていいし。・・・ただね」



ヨミの説明を遮る形で美夜は先ほどよりも更にバタバタした。



「はーやーくーしーろー。」



「わ、分かった申し訳ない。疲れてるのに。」



そしてヨミは美夜の身体に手を乗せると、ぐぐっと力を込めた。



流石に初めての経験だったのだろう、美夜は「おお」と感嘆の声をあげた。



そのまま、ぐっと持ち上げるような押し出すような力の入れ具合で美夜の魂を押し出す。




そして、ぽんっ!とおよそ魂が抜けたとは思えないほど軽やかな音が鳴り、美夜の魂が飛び出した。



ふわふわと漂う美夜の魂に向けてヨミは語りかける。



「いい?その姿だとぷかぷかと何もできないかもしれないけど、この世界は貴女の思い通りに作り替えられる。だからまずは身体を形成すると良いわ。」



美夜の魂は少し楽しそうに揺れている。



「世界は貴女で、貴女は世界なんだって事を覚えておいて。」



「私はなるべく早くにこの身体を美夜に返しにくるから。それまで寂しいかもだけどいい子にしているんだよ。」



そうしてヨミは奥に進み、現世(うつしよ)へと向かった。



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