表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

また地獄へ。




「悪人の・・・皆殺し・・・?」




ぽよぽよは驚いた顔で美夜を見る。




「そう、悪いやつ全部殺すの!」




美夜は笑って答えた。




「・・・僕行かない。」




ぽよぽよはまた地面を見て言う。




足のような部分で地面にいじいじとしながら、ぽよぽよは話を続けた。




「悪い人はね、きっとどこかで悪くなっちゃったの。確かに酷いことをするのはダメなことだよ。でも・・・」




足で輪を描きながら、ぽよぽよは話す。




「酷いことをされるのはその時だけだけど、死んじゃったらずっと痛いんでしょ?」




美夜はぽよぽよの頭に手を乗せて答えた。




「いい?スライム。痛いのは一瞬なんかじゃない。私、ずっと痛いんだ。身体じゃなくて、心が。」




美夜は胸をさする。




「そして、やがて心は壊れちゃう。」




美夜は何かを持ったような仕草をした腕を前に突き出すと、それを握りしめた。




「壊れた心を持ったまま生きるのって、常に心臓に鎖でも刺さったような気分なの。」




「鎖・・・?」




ぽよぽよは首を傾げるような動きをした。




美夜は手元にあった花に指を沿わせて話を続けた。



「鎖なんてここにはないか。・・・何かを縛り上げて、締めて、食い込ませて、動けなくする物。」




ぽよぽよは美夜の胸を見る。




「なにも、ついてないよ?」




「自分にしか分からないんだよ。」




「でも、だからってその鎖を外すためなら他の人を殺すの?そんなの・・・」




美夜は立ち上がった。




「だめ、かな。」




ぽよぽよも立ち上がった。




「だめ、だよ。」




美夜は森の方に踵を返すと、飛んでいた妖精を手で叩き落とし、ぽよぽよを見ることもなく口を開いた。




「スライム。お前はやっぱり私に着いてこないで欲しい。」




ぽよぽよはぷるぷると震えた。言葉はない。




口を開いてはいるものの、言葉は何も出てこなかった。




沈黙の中、別れの一歩を踏み出そうとした時、脳内に声が聞こえてくる。




「やぁ。元気そうでよかった。でも貴女、殺し過ぎよ。現世では結構問題になってる。足はつかないだろうけど。」




「・・・何の用?」




「一度元の世界に戻りましょう。」




美夜は動揺して自分の目玉が揺れ動くのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ