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仮設風向計/詩集その3

ターミナル・エデン/奇跡

作者: 浅黄悠

「ターミナル・エデン」


社宅のみんなで飼っている恐竜にフルーツを買うため

昼食はワンコインで済ませる

宇宙港と連絡を取った仕事の終わり

上司は江戸時代へ帰る


火山岩を融かす夢の中で

あいつと一言二言会話をした

お互い二度と会えなくても生きていて

お互い結末を知っていても笑っていて


たとえば時代を繋いで

どこでもない場所でずっと過ごせたなら

忘れたいことも全て遠くなるだろう、

と思っていたことを今思い出した

火傷の痕を指で押したときのように

どんな痛みだったかも今思い出した


うん、これでいい

今日もカフェオレを作って飲む朝



**

「奇跡」


虹の切れ端やオーロラ

雷雪や月食や流星群

花筏花吹雪ロンパースで走る幼子

嘘のように爽やかな風

サーモンピンクの東雲


世の中にある大小の奇跡ぜんぶぜんぶが

嬉しい以上に卑屈な自分を悲しくさせる

これは奇跡じゃない

ただ自分の目を束の間喜ばせるだけのものだと言い聞かせる


綺麗なものを見ているのに

自分の虚無について考える必要なんてない

もう二度と会えないと苦しむ意味もない


自分が居なくても新緑は綺麗だろう

目に焼き付けるのも人間の勝手


青年がクロスバイクを漕ぐ

雲が繊月が沈む

丘の上の住宅街の煌めきが薄れて

橘の花は風を溜めている

呼吸のように流れた



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