明日への事前準備
「ガチャ」とドアを閉めて
枝を机の上に、そっと置いてあげました。
「まず、名前とかはあったりするんですか?木って呼ぶのはおかしいですので。」
「マートル...仲間内では間違えられて、よくそう呼ばれておったわい。じゃからそう呼んでくれ。」
「わかりましたよ。マートルさん。」
「というか、ずっと謎だったんですけど、どうして私はあなたと話すことができるのですか?」
「それはな...お前さんとわしの活力の波長が、全く同じだからじゃよ。」
「全く?」
「そうじゃ。だからわしはお前さんと会おうとしたことがあったのじゃが...。
当時のお前さんは、わしの放つ活力で気絶してしまってのぉ...
だから、お前さんが十分大きくなるのを待ったんじゃ」
「へぇ~。だからあの時、あんなところで寝ていたんですか...。」
10年越しに真相がわかりました。
...正直、もうどうでもよかったのですけどね。
そんなことは置いておいて
「マートルさん。あなたに活力をあげるにしても、私は何をすればいいんですか?」
「何もせんでよい。勝手にいただいていくからのぉ。ホッホッホ。」
いやいや何も面白くないんですが...。
「というか、それどういう原理なんですか?いつか悪用されそうなんですけど。」
「お前さんのために活力を増やす際に、いくらかいただくだけじゃから問題ないわい。」
「つまり、あなたしかできないということですか?」
「うむ。お前さんと同じ波長の活力を使えるやつが出て来ない限りはな。」
「リウビア~。ご飯よ~。」
マートルさんと、これからについて話し合っていると
お母さんの呼ぶ声が聞こえ、私は一階へ向かいました。
「今日はお父さん隣町に行ってるから、今夜は二人だけね。」
いつもより野菜多めの夕食をいただいてから
いつもと変わらない流れで、私は布団に入りました。
「おやすみなさい。マートルさん。」
「......。」
寝てるんですかね...。
いや、死んでたりしませんかね。
ベッドから起き上って
「お~い、マートルさ~ん。」
全身全霊で振り回していると反応がありました。
動いてくれないので、とても分かりにくくて困ります。
「......ん。」
「マートルさん、生きてますか?」
「ん...。生きておるぞ...。一日くらいなら何もなくても生きておられるから...の......。」
そう言って、また眠ってしまったようです。
とりあえず一安心。
明日に向けての構想は、もうすでに練りました。
頭の中でそれを復唱している内に、私はいつしか眠りについていました。