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下界の神様奮闘記  作者: LUCA
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神様と猫⑤

 今日は寒さが厳しい。鳥居家が位置しているこの地域では、ここ数日雪が降り続いている。今日に至っては風も恐ろしく強い。積雪の程度で言えば、雪かきが必要とまではいかないが、車の通行に支障をきたすくらいの深さはあるだろう。

 雪が積もってテンションが上がるのは、雪で遊ぶ子どもたちか、雪があまり降らない地域の人々くらいである。


 天界にいた頃は、割り当てられた区域に対して定期的に雪を降らせていた。

 とはいっても、俺は主に九州を担当していたから、山沿いを除いてドカドカと降らせた記憶はあまりない。せいぜい、数年に一回、きまぐれで大雪を降らせたくらいだ。

 それでも、基本的に九州の人々は雪に慣れていない。特に大雪の日は交通機関が乱れたり、学校や会社が休みになったりと大変そうだった。我々神様は、それを上からただ見ているだけなのだが。


 こんな寒い日はなかなか布団から出られない。歳を重ねると早起きになる人も多いようだが、俺はそれには当てはまらなかった。人ではなく、元神様だからか? 


 そういえば、いつも起きるのが遅い日というのは、オス猫のすき焼きがご飯を求めて俺を手荒く起こしてくるのが通常だが、今日は来ないな。凪沙ちゃんか晴人くんがご飯をあげたのかな? 

 まぁ、ゆっくりと自分のペースで起きられるから、それはそれで好都合ではあるが。


 しかし、いくら休日とはいえいつまでもダラダラと布団の中で過ごすのはもったいない。こんな日だからこそ、なにか新しい発見があるかもしれない。寒さ対策さえ怠らなければ、外を歩いていたら身体も温かくなるだろう。

 さて、今日はどこに行こうかな__。


「神山さん! 大変ですっ! !」 


「ど、どうしたんだい、凪沙ちゃん」


「すき焼きがどこにもいないんですーっ! !」


「え、住居部分のどこにもいないのかい?」


「いないんです……。一応すき焼きが入り込みそうな所は一通り探しました。けれど、どこにもいなくて……。神山さんのお部屋には来ていないですよね?」


「基本的に僕の部屋に来るのはトイレかご飯の時くらいだからね……。隠れるところも特に無いし……」


「そうですよね……。実は、空気の入れ替えのためにドアを少し開けてたんです。いつもはすき焼きが逃げ出さないようにちょっとしたバリケードを設けたり、ドアの隙間を最小限に留めたりするんです。だけど、今回は寒いから短時間だけやろうということで、ドアを少し広めに開けてバリケードも設けていなかったんですよ……。もしかするとその隙間から外に逃げ出しちゃったのかなって……」


 凪沙ちゃんは今にも泣き出しそうな表情をしている。その少し後ろでは、晴人くんが外へ探しに行こうと準備しているのが見えた。


「晴人! 今は風と雪が強すぎる! もう少し収まってのを待ってからにしろ!」


「あいつは室内で飼われてるから、特に寒さの厳しい今日の外で長時間過ごすのは致命的すぎる! だから少しでも早く家の中に連れ戻さないと!」


「そうは言っても危険すぎるだろ! 視界も良くないし、怪我したらどうするんだ!」


「そうよ晴人! あの子はきっと大丈夫だから……! どこか身を隠せるところでじっとしてるはずよ!」


 お父さんとお母さん、そして晴人くんが話し合っている。たしかに、この暴風雪の中で外に出るのは危険だ。では、どうする? 


 ……ここは元神様の出番ではないか……? 


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