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98.聖魔大戦②



「あぁ、クソみたいな奴だな――《蹂躙破滅オーバー・ルーイン》」


「くッ――《空間断裂スペース・ラプチャ》」


 横薙ぎに空間を断裂させて蹂躙を相殺する。

 高度な魔法同士がぶつかり合い、大きな衝撃が生じる。


「領域展開――【万能領域】」


 それと並行してスキルを発動する。

 これで可能性の実現の確率が上がる。

 魔法の効果範囲や初見である魔法であっても成功確率が上がる。


「これは……本当に!!」


「思い知れ――《隕石落下メテオストライク》ッ!!!」


 それは理想の魔法と言えるべきものだ。

 通常のまほうでは決して届かない域に足を踏み入れた現象、夜に見える星を引き寄せ、大地へと落とす魔法だ。

 物理的な威力は勿論、その被害は絶大なものだろう。


「嘘だろッ――《巨大絶対障壁アブソリュート・グレーターウォール》ッ!!!」


 天に浮遊するミーシャ、神殿を守るためにナイラは全力で魔法を展開する。


 そして宙から出現した星群がナイラと破滅の神殿に降り注ぐ。


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ――――」






 その頃、二千年ぶりの魔王と勇者の対決。


「ぐッ……嘘、だろ……みんな」


 状況は勇者の劣勢。

 勇者の仲間は倒れ、もうアウレスしかいない。


 まだ未熟である勇者と絶大な力を持つ『終焉の魔王』には大きな差があった。


「クソッ……」


「まだ、終わっていません!!」


 そう、誰かが叫ぶ。

 顔を上げるとあの魔法使いの仲間の一人が立っていた。


「勇者さん、立ってください!!」


 彼女たちは名前を言い、自分に手を差し伸べた。

 まだだ。


「あぁ、そうだな。俺は勇者アウレス、ここで負けるわけには……」


 そうだ。

 彼は人類最高の善人、聖人であり、全てのために立ち上がる人間なんだ。


 それは世界の理の一つだ。


「もうおしまいだ。まだアイツのことも残っているのでな!!」


 勇者を圧倒し、自分が強者であることを自覚したカインは嘲笑している。


「いいや、まだだ。俺がいる限り――」


 その瞬間、勇者は覚醒した。


 ――《勇者の加護》


 それは聖なる力、魔王と対になる存在である勇者。

 その勇者の固有の力、それは勇者と仲間に与えられる神からの恩恵であり、その詳細は受けられた者の潜在的な力を引き上げる。


 端的に表すなら、一瞬にしてその者が特訓、鍛錬で得られるであろう限界値まで力を引き上げることができるのだ。


「こ、これは……」


「何か知らないけど、俺と戦ってくれ……」


「はい、勿論です!!!」


 勇者は覚醒して正真正銘の『終焉の魔王』と『希望の勇者』の戦いが始まった。






 ミーシャが放った《隕石落下メテオストライク》を食らい、何とか生き延びた。

 理想を実現した魔法は絶対性にも通用する。

 ミーシャが『絶対』とは別に手に入れた『理想』……そしてもう一つ……。


「まだまだこの自分の世界を解放したなら、もう出し惜しみはしない!!」


 神器兵装――《天地元槍アステラード》、複製、装填。

 ミーシャが繰り出すものが絶対に殺す攻撃だ。


「くッ……」


 手札はお互い未知数だが、有利なのはミーシャだ。

 だがこれで諦めるほどナイラの感情は小さくも柔くもない。


「発射!!」


「――《絶対切断アブソリュート・ブレイク》」


 ナイラは思いっきり腕を払う。

 それは魔法と到達点である『絶対』の威力を持つ中でも最強を誇る。

 その名の通りに絶対性がある切断。

 向かってくる神器を全て粉々に粉砕した。


「クソッ!!」


 複製したが、本体も含まれていた。


 つまりミーシャの武器、神器の一つである《天地元槍アステラード》が失われたのだ。

 少し油断したか、と反省して次に生かす。


「――《絶対空間千柱断裂《アブソリュート・サウザンドピラー・スペース・ラプチャ》》」


 広範囲に空間断裂の柱が千にも及ぶ規模で発生する。

 威力は低いが、空間断裂に飲み込まれれば、重圧にかかり、簡単には抜け出せない。


「――《長官死神召喚サモン・グレーターリーパー》」


 通常の死神より二倍の大きさ、上位の死神を顕現させて神器《死神大鎌グリムリーパー》を装備させる。

 斬り裂いた者に死が訪れる。

 即死効果を持つが、死の体現者である者を召喚して即死効果を向上させる。


 それは囮であり、決定打にもなり得る。


「――《暗黒領域ダークネス・フィールド》・《暗黒煙ダークネス・スモーク》」


 召喚した死神へ支援して念のためもう一度《隕石落下メテオストライク》の発動を準備する。

 死神はそう簡単に気配を察知はできない。


 それは死の体現者であるため、生きていないからだ。

 ナイラは《絶対空間千柱断裂《アブソリュート・サウザンドピラー・スペース・ラプチャ》》が命中して動けない状況だろうから接近はできるだろう。


 死神自体は自立型であるため、召喚者の敵であるナイラを殺すために動く。

 召喚魔法の中でも上位であるため、意思を持って召喚者の望みに答える。


「ぐおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」


 まだ断裂はミーシャが解除しない限り、効果は続く。

 命中した時点でナイラでさえ重圧には耐えられず、全力を出さなければ抜け出せないだろう。


 それを理解したナイラは精一杯で《蹂躙破滅オーバー・ルーイン》を放つ。


「ッ――」


 それと同時に自分に向かってくる死神に襲い掛かるが、《暗黒煙ダークネス・スモーク》ではっきりとは見えなくなった。


 ドゴォォォォォッ――

 数秒後、凄まじい大爆発が起きる。


「ありがとうなッ!!!」


 あの一瞬で最上位の死神を消滅させ、装備した神器《死神大鎌グリムリーパー》を奪い、ミーシャに襲い掛かってきた。


「ッ――」


 だがこんな状況は朝飯前だ。

 焦ることなく、《聖魔剣ミアルス》を掴み、激突する。


 流石だ。

 でも、もうすぐ時間だ。

 展開された二つの到達点の準備が出来上がる時を……。




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