97.聖魔大戦①
「ナイラ様、ミナ、やれ!!」
「了解しました」
かつて魔王との戦い、それ以外の敵を調べていた。
その時に『破滅の魔女』ナイラ・ディルリオンの根城を調べた時にあった同じ場所だ。
まだあそこに住んでいたのか。
「よぉ、お前はずっとここにいたのか」
「ッ……あぁ、そうだな。長かったが、今、私の目的が達成されるだろう」
赤紫色の長髪の女性。
美貌を持つが、同性であるミーシャには何とも思わないし、この事態の元凶である奴が目の前にいる。
二千年の時、ほとんどを無くしたあの時から自分は勇者より、魔王より、強くなりろうと決めた。
「もう終わりにしよう……『破滅の魔女』ナイラ・ディルリオン」
「あぁ、そうだな。決着をつける。かつて生きた者『万能の魔法使い』ミーシャ!!」
二人は顔、瞳を合わせる。
全神経を視界という外界を捉える器官に流す。
それは恨み、怒り、殺意であり、決意だ。
「あぁぁぁぁぁッ――《新星爆発》ッ!!」
全てを叩きつける。
爆炎の炎がミーシャの手から放たれ、ナイラを吹っ飛ばす。
破滅の神殿の入り口が轟く。
「――《地獄領域》・《地獄大海》ッ!!」
炎属性の性能を飛躍的に上げて、炎系統の最上位である魔法で広範囲をマグマで押し流す。
絶対性がなければ、一瞬にして燃え上がる。
「中々、やるね……流石、魔王軍幹部等に育てられたものだな」
「あぁ、あの人達が教えてくれた。強くなるために、生きるために、何かを成し遂げるために!!!」
――《地獄雨》
地獄の雨、威力は絶大だ。
「ぐッ……流石にな」
でも、外見判断でダメージは少ない。
「――《魔法鑑定》」
自分と同じく二千年の時を生きる人物。
だから世界に知れ渡っている魔法ではなく、ミーシャの絶対性のある魔法やスキルのようにオリジナルを備えている可能性は高い。
すると彼女に付与されている魔法が判明する。
――《絶対身体》
「何――」
「くふふ……驚いた、ということは気付いたようね。ミーシャ!!」
その瞬間、ナイラの手から放たれた《蹂躙暗黒》が迫る。
漆黒が蹂躙するそれは全属性の中でも最高レベルの威力を誇る。
だがミーシャには効かない。
「……でも、私だけじゃなかったのね」
少し嬉しい。
確かに少し考えれば、あの絶対性は新たな魔法というよりかは、魔法というものを研究していき、到達した一つの答えだ。
それが絶対性を持つ魔法。
それは一見、最強の魔法であるが、絶対性は対万物において最強であり、《絶対身体》を付与した者は絶対にダメージを負わない。
今までなら他の上位魔法で事足りるものだ。
魔法を極めた者でも自ら辿り着いた者であるミーシャの感覚では到達できる者は限りなく少なく、たどり着けることさえ不可能である。
だがそれは時間と労力でミーシャ、そしてナイラは到達したのだろう。
そして絶対性の唯一の弱点として同じ絶対性なら攻撃が通用するのだ。
「ふぅ~……」
上空へ飛び上がったミーシャ、そしてナイラは目を合わせて同時に詠唱を始める。
「「――《絶対領域》ッ!!!!」」
絶対魔法の性能を飛躍的に上げる。
確かにミーシャもナイラも絶対魔法を習得したが、同時に未知の領域に足を踏み入れた同時、これからはお互いの本当の力量、実力差がものを言う。
これは本当の死闘だと勘づき、呼吸を整えて魔法を発動する。
「――《絶対新星爆発》ッ!!!」
既存の魔法に絶対性を付与する。
「――《破滅領域》・《絶対破滅》ッ!!!」
もう一つの魔法の性能を上げ、破滅の波がミーシャを襲う。
「がッ――」
「ぐッ――」
お互いがダメージを受ける。
これが、痛み……久しぶりの感覚、これこそが生きているという証だ。
そして油断は禁物だ。
手札が亡くなる可能性もあるが、その都度、魔法を開発するしかない。
「――《破滅千剣》ッ!!!」
先に詠唱したのはナイラだ。
だがそれに絶対性はない、だが奴のオリジナルである破滅の魔法が呆気ないとは思えない。
「――《大収納》」
自分に向かってくる千本の剣を空間に収納する。
意外な使い方にナイラは少し固まったが、すぐに動き出す。
「返すよ!!」
その瞬間、ナイラの上空に空間の穴が開く。
すると先ほどまで自分から放った《破滅千剣》が落下した。
そしてその最悪なことが明らかになる。
その力は侵食に近いようなものだ。
「なるほど、でも致命的ではないな――《絶対千鎖》ッ!!」
まず縛る。
そして切り札を出す。
「さぁ、行こう。本気で――《白状ワールド》ッ!!!」
ミーシャが一番最初に作り出した神器。
その本質は魔法、法則、スキル、そしてミーシャの願いを実現する。
だがその性質により扱うのは一度きりであり、一度使用してしまえば、十分な性能を出せるのに百年はかかってしまう。
だからこれはミーシャにとって最大の切り札だ。
杖に願い、《白杖ワールド》に秘められた力が発動する。
その瞬間、特殊な法則が大地に上塗りさせる。
ミーシャを中心として太陽の光が強く照らすように景色が一変する。
「こ、これは……」
流石のナイラも驚愕する。
この世界に存在する魔法理論、ミーシャと同じく絶対性を習得したナイラでさえ、この状況は理解不能だったが、一つ、分かったことがある。
「まさか、別の……」
そう、ミーシャは絶対性ともう一つ、自分がの蔵事象を引き起こすことが出来る。
「見て、何かを思え……私の世界を――」
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