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92.VS 禁忌の魔女ミクロメルザ②



 魔族に生まれたことで私は後悔した。

 種族的な能力は上位に位置するが、種族の文明技術は他種族より低い。


 それは一言で表すなら、過酷だ。

 どんな力だろうが、生きることである食べ物は常に枯渇している環境なら、魔族は餓死するしかない。


 魔族は闇から生まれた生命。

 だから光から生まれた生命からは敵と認識されている。

 暗黒の大地から出ることは死を意味している。


 だからこそ魔族の一人として生まれた者達は成り上がることしか道はない。

 そのためには力が必要だ。


 この大地、この種族から生き残るには頂点へ目指すしかない。


 だから私は登ることにした。




「ルナッ!!」


 これが最高幹部の強さなのか、ミーシャから聞いた話では死体を操っているため全盛期ほどの力は出ない。

 個人差によるものなのか、ただ《空間移動スペース・ムーブメント》を繰り返すだけだ。

 支援魔法専門らしいが、やっぱり単独では戦力にならないのか。


「え~と……」


 ミーシャから託された光の魔法の書だ。


「中位魔法――《聖光束縛ホーリーライト・バインディング》ッ!!」


 このままでは埒が明かないため、ミクロメルザを束縛する。


「任せて!!」


 炎を纏う拳でアカリは突っ込む。

 支援魔法専門だから防御面に関しても高いため、攻撃が乏しい。


「ふッ!!」


 この中で一番、戦闘経験があるのは吸血鬼の少女フィムである。

 素早い動きでミクロメルザを圧倒する。

 後は、防御を破り、攻撃を与える。


「ハァァァッ!!!」


 持前の身体能力を活かしてミクロメルザに拳を突きつける。

 ドンッと防御越しでダメージを与えることができた。


「このまま!!」


 竜人という稀な存在であるシナの拳は外見以上の威力を持つ。

 ミーシャと同じような容姿の少女が吹っ飛ばされた。


「おらぁぁぁッ!!」


 アカリの連撃、フィムの剣撃で防御を削れていることがわかる。

 自分の防御を高める魔法であり、魔法の効果は時間経過や保つことが出来なければ、魔法の効果は切れてしまう。


 防御を叩けば、勝機はある。


「私が!!」


 フィムが何かを察してナイフを突きつける。


 その瞬間、ガキンと何かが破れた。


「ぐッ――」


 防御が破れて遂に攻撃が届いた。


「行けぇぇぇぇぇッ!!!」


「うぉぉぉぉぉッ!!!」


 リーネの声で押されてシナ、アカリ、フィムは攻撃を絶え間なく繰り出す。


 そしてシナの拳がミクロメルザの心臓へと到達した。


「……やった」


「君、たち……やっと、できたか……」


 心臓を貫かれたミクロメルザは抵抗することなく、リーネ達に話しかけた。


 彼女は抵抗していたのだ。

 支援魔法専門である彼女の身体は死後も彼女を守っていたためか、操作されていたが、それに抗い、自分を止めてくれる人を望んでいたのだ。


「きみ、たちは?」


「師匠のミーシャ様の弟子です」


「ミーシャ……そう、生きているんだ。みんな……ミーシャを、頼んだ、よ」


 彼女は成り上がった。

 そしてミーシャに望みを託した。

 自分の限界が砕かれ、もう自分には立つことはできないが、誰かの背中を押すことはできる。


「はい、任せてください!」



 彼女が『禁忌の魔女』と呼ばれた理由、それは支援に特化して存在に影響を及ぼすことに特化した力を扱い慣れていた。

 ラズウィールと共にミーシャに魔法を教え、彼女が研究を進めていたものをミーシャに見せた。


 それが絶対性の魔法や不老不死の研究だったのだ。


 そう、ミーシャはミクロメルザの途中であった研究の詳細を元に絶対性のある魔法や不老不死になる方法を見つけた。


 もう彼女は救われたのも当然だった。

 託した相手がもう既に自分の望みを叶えていたのだから……。


 禁忌を探求した少女は安堵しながら、瞼を閉じた。


 もう開けることはないと、思いながら……。




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