89.VS 禁忌の魔女ミクロメルザ①
「ちょっと、狭い」
裏口は狭かった。
そこは魔王城に侵入する入り口の二つのうちの一つだ。
この道は抜け出すためのものだが、本当の理由は魔王軍最高幹部の一人、第六席『禁忌の魔女』ミクロメルザの研究所に繋がる通路だ。
四人はミーシャの魔法で防御面は無敵だ。
「ここは……?」
ミーシャの魔法研究所と同じく本棚に囲まれている。
魔法の素人でもここにはさっきまで人がいたように魔力が漂っている。
「……」
「危ない!!」
リーネが慎重に空間を把握している途中でアカリが叫び、それにフィムも動き出してリーネとシナを持ち上げて何かを避ける。
数秒前まで自分達が居た場所に衝撃が走る。
魔力が流れ、一点に凝縮される。
「あれが、幹部の一人……」
全員が部屋の上部に浮遊する少女を目にする。
事前に最高幹部の情報を聞いていたため、あれが魔王軍最高幹部・第六席である少女『禁忌の魔女』だと分かる。
「あれが……」
「やるしかないです!!」
近接戦闘に優れたシナ、アカリ、フィムが前に立つ。
「ルナ・ヴェルバーディア、来て!!」
「はい、主!」
「行くよ!!」
彼女はミーシャと同じ魔法を得意としているが、攻撃、防御、支援の中で支援特化型である。
「上位魔法――《天聖身体》」
直接的な戦闘力は低いが、自分の身体能力は最上位まで上げることが出来る。
「ふッ!!」
竜人のシナ、獣人のアカリ、吸血鬼のフィムが拳と刃を叩きつける。
だがそれは空振りで終わる。
支援特化でも《空間移動》が扱える。
ミーシャと同等の実力を持つ魔法使い。
「そこです!!」
回避した先、その隙にルナ・ヴェルバーディアが攻撃を与えた。
彼女は動く死体なため、その表情は死んでいる。
攻撃を与えたが、痛がることはなく、手にもつ杖を軽く振るう。
「ふッ――《聖光渦》ッ!!」
身体の性能の他に能力の性能を向上させている。
またまた避けて壁にぶつかり、崩れる。
「――《呪詛魔眼》」
その魔法を発動するとミクロメルザの瞳が紫色に光輝く。
それは魔眼であり、目を合わせると対象に呪いを付与することができ、対抗策を講じていれば、魔眼の威力は非常に低く、驚異にはならない。
「今の私達に効かない。行けぇぇぇぇぇッ!!」
《空間移動》で避けてもこの空間は広いわけじゃない。
各自広がって、瞬間地点から近い人が攻撃する戦法だ。
「ハァァァッ!!」
シナは拳を振るう。
「うりゃぁぁぁッ!!」
アカリは強烈な蹴りを向ける。
「ふッ!!」
フィムは刃を振るう。
魔王城での戦いはまだまだ続く。
【“面白い”と“先が気になる”と思ったら、『ブックマーク』や『☆☆☆☆☆の評価』や『感想』をしてくれるとモチベーションアップに繋がるので何卒よろしくお願いします!!!】




