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87.作戦会議



 王国の消滅を見て、ミーシャは再び《大陸移動コンティネント・ムーブ》を発動した。


 ミーシャが転移させた場所は、かつてミーシャが魔法研究をしていた隠れ家だ。

 洞窟の奥地にある空間を整えて、必要なものを揃えている、


 これこそ『万能の魔法使い』ミーシャの魔法研究所だ。

 魔法使い界隈なら、ここの環境は喉から手が出るほどに欲しいものだろうが、ここは当然ミーシャ以外は侵入することはできない。


「はぁ~……疲れた」


「師匠、無事だったのですね!!」


「あぁ、死ぬわけがないだろ」


 と駆け寄ってきたリーネの頭を撫でる。

 咄嗟にこの場所へと来たが、懐かしい匂いだ。


 この隠れ家には誰も入っていないからミーシャが出ていった頃のままだ。

 魔導書、実験用の瓶、魔法陣の設計図が全方位に埋めつくされている。


「炎を」


 壁に魔力を流すと壁に掛けられている魔石が光輝く。


 ここで絶対性のある魔法も開発していた。

 ここが第二の家だった。


「じゃあ、まずは情報を整理しよう。まず私は勇者を憎んでいる。かつての仲間達を殺した勇者という存在を……でもそのことに関しては全てが終わったら決める」


 『終焉の魔王』アビルス様ではなかったら、誰なのか。

 あの力はかつてアビルス様が操っていたもので、そもそもあれがアビルス様自身だ。

 でも、死者を生き返らせることは私でもできなかった。


 自分を過小評価するなら、まだ実力が足りないのか……でも、私は一度見たことがあった。

 死んだはずの仲間、ラズウィールが立っている光景を……。


 今、知り得る情報をまとめる。


「この事態の首謀者は“破滅の魔女”ナイラ・ディルリオンだ。恐らく、奴がアビルス様を復活させたのだろう」


「復活、ですか?」


「あぁ、でも魔法を二千年研究していた私でも死者蘇生は実現できていない。だから奴でも完璧な蘇生ではなくて、死んだ者を操る程度しかないのだろう」


 でも、それでもラズウィールは生前のオリジナル魔法を使用していた。

 そこまでかつての力を引き出せるのだから、驚異であることは変わりはない。


「場所は魔王城。私は魔王軍の手先だと思われているから交渉、協力は不可能だ。それで私の作戦だけど、魔王領まで行って、状況を確かめる」


 勇者が存在している時点で魔王という存在は成立している。


 だから決して不完全ではない。

 私が戦うなら、それはもう死闘になるだろう。


「奴を止める。動いているであろう仲間達とアビルス様、そして“破滅の魔女”ナイラ・ディルリオンを打倒する。状況に応じて、リーネ達も戦うことになる。サポートはするけど、死者を操っているが時間に応じて全盛期の力を出せる可能性もあるから、命は自分で守らなくちゃいけない、が覚悟はできているよね?」


「当たり前です!!」


 もう覚悟はできている。


「なら、詳しくは見なければ分からないが、作戦は打倒のみだ」


 私の仲間は弟子である四人しかいない。

 それ以外は全てが敵だ。


「ここからは予想は出来ない」


 戦力的には自分一人で全てを対処するしかない。


「多分、魔王軍の進行はすぐに始まるだろう」


 本題は作戦会議だが、魔王領の周りはもう既に自軍で固めているだろう。


「皆には身体強化を……状況に応じて動くこと、絶対性は私から離れると効力が弱くなるからなるべく……でも魔王領を出なければ効果は消えることはないと思う」


「分かりました」


 じゃあ、行こう。

 長くは留まっては何も始まらない。


 魔族の大地へと侵入し、魔王領が見える位置に転移する。


「あれか……」


 沢山の魔力を感じる。

 その中でも強大なのは、六人……その一人が破滅の魔女だ。


「魔王が誕生すれば、魔族は活発化する」


 あれほどの数、進行するなら関z年に対処が間に合わないだろう。


「私が気を引く、目的地は魔王城だよ」


「了解です!!」


 ミーシャは《飛行フライ》で飛び、魔王城へ接近する。

 ゴォォォォォッ――

 何かが近づき、その方向を見ると巨大な闇が衝突した。


「うッ……これは」


 この闇、いや暗黒。

 魔王城に侵入する前に大地へと落ちる。

 目の前に巨大な存在が降り立つ。


 グォォォォォッ!!!

 漆黒の硬い鱗、赤い瞳、巨大な翼。


 この魔力量から最高幹部の一人、第五席『暗黒竜』ゼーガだ。

 種族のポテンシャル、闇に適応した竜王クラスであり、今を生きる竜王を凌駕するほどの実力を持つ。


「ゼーガ……私が分かる?」


「グゥゥゥゥゥッ……」


 かつては言葉を発していたが、今では唸りだけだ。

 改めて見ると操られている。


 これは破滅の魔女のものなら、興味を覚えるほどだ。


「――《天聖千槍サウザンド・ヘブンリィ・スピア》!!!」


 上空に魔法陣を展開、千本の光の槍が降り注ぐ。

 『暗黒竜』の二つ名の通りに弱点は光でミーシャが持つ《聖魔剣ミアルス》も弱点の一つだ。


「ハァァァッ!!!」


 《天聖千槍サウザンド・ヘブンリィ・スピア》を避けているゼーガにミーシャは剣を振るう。

 ガキンッと硬い鱗に阻まれる。

 神器級であろうと容易に刃が通らない。


「流石ですね!!」


 硬さは幹部の中でも随一だ。

 だがそれでも今のミーシャには対処法がある。


「領域展開――【万能領域】」


 絶対有利戦法だ。

 流石にゼーガにデバフが重なれば、通用するほどに弱体化するが、この戦法の唯一の弱点として効果が掛かった相手に弱体化になるまでに少し時間がかかるのだ。


「ゼーガさん。成長した私を見てください!!」


 白杖を浮遊させて剣を構える。




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