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86.勇者との因縁②



 だがそれは彼の動きの速度ではなく、数秒前に《暗黒槍ダークネス・スピア》を砕いた瞬間、それが聖剣へと吸い取られたのだ。

 ミーシャの聖剣の知識では、正反対であろう闇の力を吸収するのが当たり前なんて思えない。


 あの聖剣、そのままの通りに理解するなら聖剣が闇を吸い取って力にするのか。

 聖剣は光を聖なる力へと変換させるとは聞いたことはあるが、まさか闇であろうとなんでもかんでも力を吸収するのか。


 いや……まだ断言はできない。

 そもそも聖剣が力を吸い取るなんて聞いたことがないし、その力は勇者に依存するはずだ。


 なら、試しだ。


「――《聖光障壁ホーリーライト・ウォール》」


 勇者の特攻を防ぐ。


 だが力づくで《聖光障壁ホーリーライト・ウォール》を貫こうとしている。


「ふん、野蛮だな。力の何たるかもわかっていないのか?」


 人間の中から勇者が現れる。

 勇者になる人物は真っ当で善人であることだが、身分は分からない。


 つまり教養がないのかもしれない。


「砕けろォォォォォッ!!!」


 闇を吸い取るなら、光は、他の属性も……。


「中位魔法――《竜巻トルネード》」


 障壁の向こうで発生させる。


「ぐ……ぐあぁ」


 素直に飛ばされてくれる。

 勇者の気になるが、目の前の事柄だけに集中してはいけない。


 冷静さを欠いてはいけない。


「――《空間支配スペース・ドミネイション》・《存在探知イグジスタンス・ディテクション》・《魔力探知マナ・ディテクション》」


 勇者という世界にとっても大事な存在。


 そんな存在なら、王国の監視がいるはずだ。

 いや、いない。

 勇者だけを信じたのか……それより魔王側を監視した方がいいのかもしれない。


 勇者を殺し、魔王の所に行くか。


 どうするか……。


「うぉぉぉぉぉッ!!!」


「――《獄炎障壁ヘルフレイム・ウォール》」


 考えつつ勇者を足止めする。

 あの力は『終焉の魔王』アビルス様の力だ。

 でも復活する兆し何でなかったが、現在では復活を果たして対となる勇者が現れたわけだ。


 兆しがない復活、あれは不完全ではない。


 『終焉の魔王』アビルス様の力を感じたが、アビルス様当人が復活したわけではないのかもしれないが、それは実際に見てからだ。


 じゃあ、勇者の処遇は一つだ。


「グォォォォォッ!!!」


 中位魔法――《獄炎障壁ヘルフレイム・ウォール》が破られた。

 勇者の身体は焦げている。

 聖剣を見ると炎を吸収している様子はない。


 なら、闇だけを……いや、対闇であるからこそ闇を受ければ、その力を聖なる力へと変える。


 あの微弱な向上。

 まさか、闇魔法を勇者に放てば、能力が向上するのか。


「チッ……せこいな――《大陸移動コンティネント・ムーブ》」


 もう聖剣、勇者の剣撃には興味がなかった。

 あと数秒で自分の目の前に刃が触れるというのに……。


「おっと……え?」


 途中で集中力が切れて目的地までつかなかったが、それと同時に王国があるだろう方向から巨大な衝撃が走る。

 大陸が揺らぎ、何かの力が働く。


 その方向は虚空の渦へと巻きこまれ、無残にも消えていく王国だった。


 それは、それは……完全に予想外だった。


 王国……ヴァーリシュ王国は一瞬にして消滅した。




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