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84.少女の転換点

完結までもっていきます。




 かつて二千年前は戦争が絶えなかった。


 それは一つの種族で、それは種族の間で、その起因は魔王同士の覇権争いだ。

 魔族の中の強者たちが唯一にして絶対的な座である魔王としての資格、肩書、王権レガリアを手にするために争った。


 魔族の力は殺した数、正確にはその魂を取り込むことで飛躍的に能力が向上する。


 その争いに人族は当然、巻き込まれた。

 辺境の村。

 魔族の中でも名を馳せるものが暴れ回り、村が壊滅した。


 その暴れ回った魔族を倒したのが、いずれ魔王の頂点になるアビルス率いるルヴォロワール軍団だった。


「こっちは、生き残りが……」


 それが私。

 瓦礫に埋もれて放っておけば死んでしまう状態だった。


 あの時の私ももう終わりかと思ったが、目の前の女性ラズウィールは目を大きくした。


「この子、ヤバいかも」


「え、どれどれ?」


 と見に来たのは、アビルスの配下の一人、いずれ魔王軍最高幹部・第六席で尖がり帽子と眼鏡をかけた少女『禁忌の魔女』ミクロメルザ・ガロウラインだ。

 魔法研究と支援魔法特化型、私とは魔法研究の仲となり、幹部の中でも一番の仲だ。


「本当だ。でも、どうする?」


「育てる。責任もって……これほどの才能、下手すれば、私達以上になるかもしれない」


「そうだね。楽しみかも」


 こうして私は後の魔王軍、ルヴォロワール軍団に入ることとなる。

 魔王の資格を手に入れる戦いは魔王になる同士の一対一だったため、その影で私はラズウィールとミクロメルザに魔法を教えられた。


 最初は基礎的なことを理解することも難しかったが、見放されるのが怖くてあの頃は必至に魔導書に食いついた。

 魔力の操作は鍛錬すれば、可能であるほどにみるみると魔法を習得していった。

 ラズウィール曰く、通常の速度より格上。


 そして二年後、魔族の仲でアビルスと同格の者達を打倒して遂に魔王をなった。

 その時期に私は一人前の魔法使いとなった。

 だが結果的に魔法使いとして一人前になっても、まだまだだった。


「オリジナル魔法は、まず魔法が何たるかを知らないといけない」


「魔法使いは用心として剣も習った方がいい」


 魔王軍最高幹部・第三席『黒騎士』ロヴァール・シュロントに稽古をつけてもらった。

 六人の幹部の中では剣技に長けており、戦闘能力はラズウィールでも近接戦闘を避けて離れて戦うほどに剣の技術は高い。


 全身を漆黒の鎧で覆う男。

 ラズウィールやミクロメルザのように真面目の部類なため稽古内容は厳しいという一言。


 そんな中を影ながら見守るのは漆黒の角を生やした青年が魔王軍最高幹部・第五席『暗黒流』ゼーガだ。

 彼は同じ魔王軍最高幹部・第四席と同じく元々は魔王を狙うアルビスに戦いを挑み、敗北して忠誠を誓った経緯がある。

 戦闘能力は種族としてのポテンシャルからトップクラスに位置し、幹部二人分の戦闘能力を持つ。


 もう一人の魔王軍最高幹部・第四席『鮮血姫』グロウリーゼ・ファーリン、吸血鬼の女性で鮮血のような真紅の長髪と瞳を持つ美貌を持つ。

 血と闇を合わせた魔法を扱う。

 その性格は性悪であるため、ミーシャやラズウィールとは犬猿の仲だ。


 そして最後にアビルス・シィル・ルヴォロワールの兄である『黒灰の王』カイン・シィル・ルヴォロワール。

 血縁関係であるため、その強さはラズウィールに次ぐが怠慢なため実力はそれ止まりだ。


「お前か……へぇ、たしかにラズウィールが見込んだほどだな」


 ポテンシャルは彼が一番だろう。

 なんせ妹が『終焉の魔王』となったのだから……。

 しかし彼は少し魔王軍の方針に反対な感じだったが、仕方なく従っていたようにも見える。


 アビルス様が『終焉の魔王』になってから魔族の大地から人族にまで侵攻していった。

 順調に進行が続いていたが、勇者が頭角を現した。


 そこから魔王軍の進行は上手くいかなくなった。

 勇者一行は軍勢が通れる道を作り、魔王領、魔王城に攻めてくるもの時間の問題となった。


 そして決戦。

 私は地下に隠されて、皆が勇者と戦った。


 結果は敗北。

 仲間達の死体が転がっていた。


 どうやって死んだか、状態ですぐに理解できた。

 勇者とは言うが、魔族からしたらそんなことは違う。


「許せない……」


 当たり前の感情だ。

 魔族は殆どが死に絶えた。

 でも人族まで侵攻した罰なのかもしれない、と思い始めたのは、亡き友を埋葬して城と大地を整えて、これからの自分をどうするかを考えていた時だ。


 まず自分が託されたもの魔法と剣を誰も真似できないような極地にまで昇華させることを目的とした。

 魔法の研究。


 現状の魔法というものを隈なく知り尽くし、そこから自分なりに手を加えていく。


 一つの魔法から別の魔法を組み合わせ、一つの魔法を解体し、性能、深層へと入る。

 新たな魔法を見つけるために全ての魔法をかけ合わせたり……。


 その過程で不老不死になる石を生み出した。

 私は不老不死による不安なんてなかったから迷わず口にして、何かを成し遂げようとした。


 でも……。


 一体、何を……。




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