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83.聖魔の誕生



「そうだったのね」


「うん……わたし、わたし……」


 吸血鬼の少女フィムはミーシャに今までの事を赤裸々に話した。


 彼女は子供だった。

 昔、三年前のことであろうとフィムは自分の中にあるいつも溢れ出す感情を抑えつけ、暮らしてくれた。

 復讐する対象はすぐ近くに存在するのにできない。

 一人では流石に他のメンバーには敵わないからだ。


「そう……頑張ったね……」


 ミーシャはフィムの頭を撫でる。

 さっきまで冷酷無比に戦闘を行っていた世界最強の魔法使いはただ慰める。


「師匠、その子は?」


「この子は吸血鬼のフィム。討伐隊の一人だけど戦意がなかったから」


「だれ?」


 フィムが聞いてきたのでミーシャは三人を紹介する。

 聖王国からの刺客である『神典協会直属最強部隊』はフィムを残して全滅した。


「さぁ、進もうか。君の行くよ、フィム」


「え、いいの?」


「あぁ、行く場所ないでしょ?」


「うん。いく!」


 またまた仲間が入った。

 だが、まだ終わることはない……それどこか始まったばかりだ。


「ん……嘘でしょ」


 少し進み、平原が見える。

 その時、異様な気配、力をミーシャは感じ取った。

 それは、異様な魔ではなく、その正反対のもの……異様な聖。


 つまり、この状況を簡単に説明することが出来る。

 それくらいに分かりやすいものだ。


「これは……勇者」


 そう、この特徴的な魔力はただ一人、世界の理の一部であり、魔王に対して有効打になり、天敵に及ぶ存在だ。


 それが勇者だ。


「ん……この方向、そうか。目的は私……元魔王軍幹部だから……しょうがない」


 話し合いは成立する可能性は低い。

 勇者は正義感あふれる人物、だからこそ悪の言うことを信じることはない。

 戦いになる可能性は大きい。


 また一人で歩く。

 もう見えている。

 一人は勇者、一人は魔法使い、一人は召喚師、一人は暗殺者。


 二人だけが歩く。

 お互いを敵だと認識している。


「ッ――」


 一瞬、二人は剣を交える。

 神速にも及ぶ剣撃が発生し、火花が散る。


 ガァンッ――

 《聖魔剣ミアルス》と《聖剣アルスマルナ》が激突し、鍔ぜり合う。


「お前が……魔王の……」


「……お前が勇者か」


「そうだ。人類のためにお前が殺す――!!!」


 その瞬間、魔王領の方向から膨大な魔力が天を貫く。

 その衝撃は世界に轟く。


「ッ――」


 二人はその方向に目を向け、戦いが中断した。


 その衝撃は天空を黒く染め、邪悪な力が世界に広がる。

 それは復活、いや誕生の証だ。


「嘘……魔王が……」


 ミーシャは驚愕する。


 そうだ。気付くべきだった。

 勇者が存在するのなら、魔王が誕生するなんて当たり前のこと……。


 だが目の前にいる勇者に気を取られ、勇者と対となす魔王が誕生することに気付かなかった。


 その力はミーシャが知っている世界を容易に敵に回すことが出来る魔王の力だ。


 そう、世界は変化したのだ。

 二千年という長い時間を経て……世界は再び、勇者と魔王の誕生がきっかけで平和が混沌と化す。


 ミーシャは凍り付く。

 あれは、あの力は……彼女は知っている。

 実の両親より懐かしい感じ、強大で敵対したものを無残に消し去った終焉の力が、正に産声を上げているのだ。


「魔王様……」


 再び、この世界に誕生したのだ。


「終焉の魔王アビルス・シィル・ルヴォロワール様――――」




ここまで読んで下さり本当にありがとうございます!!!


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