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82.VS 神典協会直属最強部隊③



「何?」


「もう一度、聞こうか。依頼主は誰だ?」


 地上へ降りたミーシャの後方にはリーネ達、弟子。

 『神典協会直属最強部隊』は残り第一席、第二席、第七席、第九席だが、一人だけ妙な人物がいる。

 吸血鬼の少女。

 一人だけ戦意がないのか、目に生気を感じられない。


「答えるわけがないだろう」


「あっそ……じゃあ、もういいよ」


 依頼主は破滅の魔女ナイラ・ディルリオンだろうが、はっきりと聞いておきたい。

 白杖を手放し、《聖魔剣ミアルス》を両手で握る。


「あぁぁぁぁぁッ!!!」


 リーダーであるアリアは決死の覚悟を抱き、ミーシャに突撃する。

 すぐに剣撃が炸裂する。

 人間の中でも最強の腕前であろうアリアだが、そんな彼女の剣撃をいとも簡単に受け流し、逆に攻められてしまう状況だ。


「さぁ、どうする!!」


 だが、戦闘を長引かす必要はない。

 最強の部隊、それを監視している聖王国の上層部直属の暗躍部隊がいてもおかしくない。

 全員を殺せば、国家間で自分の情報が流れ、討伐対象となる。


 目的のためなら、手段を選ばない。


「さっさと――《閃光大剣フラッシュ・オブ・グレーターソード》」


 一つだけを顕現させ、ガムルドに投擲する。

 大盾を構えているが、無残にも盾の肉体が貫かれる。


「ガムルド!!」


 『神典協会直属最強部隊・第七席』である魔女ラーレイ・マーフィムが叫ぶ。


「――《天聖千鎖サウザンド・ヘブンリィ・チェーン》」


 光系魔法を展開して魔女は貫かれた。


「おい、フィム。お前と私だけだぞ!!」


 フィムと呼ばれた少女は俯いていた顔を上げる。

 この部隊とは異質な存在。


 かつて出身の村を吸血鬼の住む村として『神典協会直属最強部隊』が派遣され、その生き残りがフィムである。

 その経緯から望んで加入したわけではない。

 彼女はまだ、無論『神典協会直属最強部隊』を恨んでいる。


 ガンッとアリアを突っ撥ねる。


「あまり乗り気じゃないけど……」


「……」


 そう言われた吸血鬼の少女はただミーシャを見ている。


「おい、フィム!! 殺せ!!」


 嫌だ。

 もう勝敗は分かっている。

 戦って負けるという選択肢を取ったアリアとは別に彼女は騎士道などなく、ただ戦闘能力が人間より優れているという点で加入させられた。


 今の自分の居場所が自分の生まれた村を消滅させた張本人らがいる場所だというのに……。


「わたしは、いやだ。死ぬならあんただけ死ねば?」


 殆どが殺された現状で生き残っているのはアリアとフィムの二人だけ、指摘されようともう従う必要はなくなった。


「おい、お前……」


 フィムはアリアを見る。

 今まで自分の中に存在していた感情にすら慣れてしまった少女は改めて自覚する。


 それは怒り、復讐である。

 彼女の大切なものを全て壊した部隊のリーダー、一番の憎しみを抱いた対象が自分の目の前で死から逃れようと慌てている。


「もう従う必要なんてない。わたしは――」


「いいから早くしろ――」


 少女の手は血だらけ。

 その血が蠢き、刃の形に変化して大きく隙のあったアリアに振るい、アリアを斬首し、アリアの頭が地面に転がる。


 そして『神典協会直属最強部隊』がほぼ全滅した。


「君、恨んでいたんだね」


「うん。ずっと……ずっと……くるしかった……」


 ただ涙を流し、ただ感情を曝け出してミーシャにそう告げた。




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