80.VS 神典協会直属最強部隊①
翌日、ルナ・ヴェルバーディアの背に乗り、新たにアカリを含めた四人は山脈をルナとミーシャの魔法で越える。
全員に身体強化を付与しているため亜音速で駆け、数時間で山脈を超えた。
ミーシャの魔法のおかげでルナの疲労は皆無だ。
「ん……」
ルナが先に次にミーシャが何かを感じ取る。
前方に複数の反応がある。
「――《空間支配》」
広範囲に魔法を発動する。
何かを感じるものだけだったが、明確にそれを把握できる。
数は十人。
「あれ、あいつって……じゃああいつらは聖王国の神典協会直属最強部隊か。その理由は……私か」
普通に考えればそうだ。
この先は最強の生物である竜種が住むハウレスレイブ山脈と独立国家である桜花国のみ。今まで聖王国は関わっていないし、最強部隊の一人が接触してきた。
王国から出て、数日で自分に接触してきた。
そのスピードから依頼されているのは、確実。
依頼主はだた一人しかいない。
破滅の魔女ナイラ・ディルリオンだ。
「あれは私の討伐隊だ」
「え、討伐隊!?」
「ん~、最初は私だけで、三人は後ろに下がってて――《絶対身体》」
四人を魔法で守り、一人ミーシャは進んで行く。
そして道に出ると最強部隊と対面する。
神典協会直属最強部隊、数は十人。
聖王国の最強。
金髪の少女ミーシャは先頭に立つ女性に目を向ける。
風格からして彼女がリーダーだ。
「お前が魔法使い、ミーシャか?」
「あぁ、そうだ。私を殺しに来たのか?」
「あぁ、潔くて助かる。では、早速――」
リーダー格である金髪の女性が疾走する。
人間の素早さなんてとうに凌駕し、瞬間的な移動を披露して音の速度で抜刀する。
ガンッとミーシャの持つ白杖と激突する。
少女は冷静沈着。
「――《空間移動》」
到達地点は上空。
そして獄炎の雨が降り注ぐ。
「防御壁展開!!」
神典協会直属最強部隊・第二席の巨大な盾を持つ男ガムルド・カズザルドが上に盾を向け、盾に込められた広範囲の魔法防壁が展開される。
下の光景を――《飛行》で上空に浮かんで様子見る。
「上位魔法――《閃光大剣》」
下から詠唱を女性が叫ぶ。
「お、ふん!!」
――《絶対障壁》
戦いは激戦するか分からないが、本気を出す。
「上位魔法――《暗黒千槍》」
広範囲に暗黒魔法を展開する。
地面に千にも及ぶ数の暗黒の槍が降り注ぐ。
「ダメか……」
そう、ミーシャは呟く。
流石、人類の中でも最強と評される人物たちだ。
「うぉぉぉぉぉッ!!!」
魔法防壁が内側から突き破られ、初老の男が上空に舞い上がる。
武器を持たず、拳を構えている。
「ん……いいだろう!!」
そのやる気、だが勝てるはずもない。
虚空から取り出した《聖魔剣ミアルス》を取り出し、『神典協会直属最強部隊・第八席』であるイロスト・ダーレン、部隊の中でも上位に位置する彼と対峙する。
その容姿に想像できない威力の拳が迫ってくる。
「ふふッ!!」
面白い。
実力が予想以上に高かったのだ。
「俺も参戦するぜ!!」
そしてもう一人『神典協会直属最強部隊・第三席』である銀髪の男カザリア・ローレンハルトが参戦する。
「――《暗黒領域》」
ミーシャを中心として暗黒が広がる。
魔法の中には領域を展開するものも存在し、その属性を周囲に広げ、効果範囲や威力を向上させることが出来る。
「――《蹂躙暗黒》」
その瞬間、最強部隊の二人が消滅した。
そう、剣と魔法が天才の域に達している少女の強さには現在生きているものには誰も及ぶことはない。
「嘘……」
誰かがそう呟いた。
そうだ。
全員が討伐可能と、勝利できると思っていた。
数秒、お互いの武器をぶつけ合った後に魔法で消滅されたのだ。
決して全滅するなんてことは考えていなかったのだから……。
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