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78.世界の変化



 少し前、王国で勇者が現れた。


 この誕生に王国の人々は驚いたが、その反面、素直に喜ぶことはできない。

 なぜなら、勇者の誕生は世界が危機に瀕している証拠であり、その代表的な存在として魔王が存在することが証明される。


 彼、アウレスは一般人、魔法使いも超える魔力量を持ち、それが聖なるものだったことから判明し、確証に至った理由は勇者だけが扱うことが出来る剣《聖剣アルスマルナ》を手にすることが出来た。


 そのため、彼の身分は貴族並となり、人類のために訓練に没頭する。

 勇者となった人間は才能がずば抜けていることも分かっているため、訓練という名ばかりのものであり、剣術、身体能力は人間の最高峰だ。


 これが世界の理。

 しかしかつてのような結果になるかは勇者次第である。

 二千年前の戦いは勇者の圧倒というわけではなく、同者にとって死闘であった。


 強さの比較なら、魔王の方が圧倒的だ。

 魔族の頂点に君臨する魔王は世界で一番の魔力量を保有するため、人類の最高峰の魔力量を持つ勇者でも敵わず、魔力不足に追い込むことはできるが、その時は勇者も同じ状態となる。


 《聖剣アルスマルナ》は所有者の気持ちに左右される。

 属性は光の一種である聖なる力。


「勇者アウレスよ。魔王はまだ確認されていないが、帝国からの知らせで魔王の関係者が桜花国、ハウレスレイブ山脈方面に潜伏しているらしい」


「魔王の関係者が……」


 勇者を含めた四人は国王であるゴルイツ・レンツ・ヴァーリシュに早速、呼び出され、任務を命じられる。


「分かりました。勇者の名にかけて必ず討伐してみせます!」


 彼は正義感に満ち溢れている。

 それも勇者に目覚める人物の特徴であり、人類の中でも限りなく清き心を持ち、善人であり、聖人でもある。


 玉座の間から出たところアウレスは女性に声を掛けられる。


「勇者様……第一王女のキルア・ルバル・ヴァーリシュです」


「あぁ、貴方が、お目にかかれて光栄です」


「ありがとう。あの魔王の関係者について私にも知識があって、討伐に行く勇者様に一つ知らせたい情報があります」


 そしてキルアはアウレスと二人きりで話す。


「魔王の関係者は魔法使いの類で、その外見は金髪の少女だと言われています」


「な、なぜそんな情報を」


「それはこの前までこの王国で宮廷魔法使いとして働いていました。私はあの者の正体に気付いていました。ついこの間、不祥事を起こして宮廷魔法使いを追放されました」


「そ、そんなことが」


「はい、この情報から魔族の手は各国に流れるかと……二千年前から繋がっているかは不明ですが、その実力は凄まじいもので一人かもしれませんが、仲間と一緒なら、捕らえるか、情報を聞き出してから討伐した方がいいかと」


「分かりました。情報提供、感謝いたします。では……」


 彼女は満面の笑みで手を振り、勇者を送り出す。


 それが仮面であることを知らず……。


 王国の第一王女キルア・ルバル・ヴァーリシュ、彼女は王女で人間であれば、ある程度のことを満たすことが出来る。

 第一王女であるため、王位継承は確実である立場。


 その仮面は誰にも彼女の本心を見破ることはできない。

 腹黒という域の限界まで到達し、人間の範囲の快と悦を堪能し尽し、渇きから満たされ、器から溢れ出すほどに……。


 満足し、飽きてきた時に彼女は新たな渇きを見つけた。


 彼女が、次に手を出したのは人間の域を超えたもの、魔だった。


 彼女は人類、王国の民を破滅へと導く女に売り渡した。


 彼女は魔女と同様に破滅を楽しむことが出来た。


 二人は偶然、いや奇跡のような出会いをした。




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