77.鬼族の真実
「答えてくれ」
「な、なにを……」
心臓を刀で貫いたまま情報を引き出す。
「お前がしている情報だ。なぜ、鬼族が繁栄できたのか、結界は誰が展開したのか」
「くッ……それは……」
「嫌なのか、脅されているのか、もう死ぬのに、そこまで抵抗するの?」
鬼の首領は考える。
鬼族を繁栄した証としてそれを裏切ることはできない。
「魔女だ……」
そう、一言。
その言葉でミーシャの予想は的中していたことが明らかになる。
やっぱりあいつが……だが、念のため……。
「その魔女の名前は?」
「ナイラ、ナイラ・ディルリオン……破滅の魔女だ」
一体、何のために……。
あいつの目的は魔王に代わって世界を支配するつもりだろう。
そのためにかつて魔王軍と争っていた。
それに奴も魔王様と同じように名が馳せていたから討伐隊が向かい、敗れたが生き抜き、自分と同じように二千年も生きている。
それだけならよかったが、かつての仲間を利用したことについては許せない。
だから奴の出方次第、いや……殺す。
最終的に、これが私の役目……生き残った私の大きな役目だ。
「分かった。さようなら」
そう言い、刀を抜く。
その瞬間、鬼の首領の体内から紫色の光が溢れ出す。
傷口から見えるのは、小さい球体。
「この魔力……まさか!!」
用意周到、いや奴のやり方なのだろう。
その瞬間、《鮮血新星》の威力を遥かに凌ぐ大爆発、いや崩壊が起こり、中心の塔、街、結界と鬼の里を容易く飲み込み、それ以上の範囲の物体を飲み込み、消滅させた。
いや、意図的だったのかもしれない。
鬼の首領を殺すことで発動する広範囲の闇系上位魔法……いや、奴のオリジナル魔法だろう。
二つ名の破滅の魔女に相応しく全てを破滅させる破壊力に特化した魔法が込められていた。
この威力は確実に自分を狙っていたことは間違いない。
「……はぁ~、あいつ、ふざけやがって」
破滅の後に残ったのは不毛の地形に巨大なクレーターが出来上がった。
ミーシャは無傷で大地を歩く。
絶対系上位魔法――《絶対身体》のおかげで無傷だ。
奴の力の一端を初めて受けたが、これほどならあの終焉の魔王様と争っていたことに納得できる実力者だ。
勝てるか、どうか。
実際に相対さないと分からないが、負けるつもりはない。
死ぬつもりはない。
鬼の里は消滅した。
「上層部から討伐許可が出たわ。今は桜花国に潜伏しているみたい。情報によると国を出るタイミングで強襲する。一応、手を抜くことはしない」
そして新たなものが動き出す。
まずは十二人の刺客が……。
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