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74.殺戮者



「鬼の首領よ、話をしようか……」


 中位魔法――《魔力探知》であの塔に鬼の頂点がいることが分かっている。

 だが、鬼でも侮れない。


「やれぇぇぇぇぇッ!!!」


 上位魔法――《暗黒領域ダークネス・フィールド》を発動する。領域内に立ち入ると暗黒の重圧を受け、対象の身体能力が低下する。

 ミーシャは《退魔刀カオス》を取り出し、動きが縛られている鬼を斬る。

 重圧というが上位魔法レベルになると魔法抵抗力がなければ、侵入した時点で死ぬほどであり、魔力を持とうが、対抗策である魔法を使えなければ、意味がなく重圧は身体能力の低下だけであるが、全身が重くなるほどに低下する。


 炎系があまり効かないということには驚いたが、他にも方法として魔族の亜種であろうと光系は弱点になるだろう。


 しかし弱点になり得るか、そうではないか。

 それは実力で変化する。魔王軍幹部であるなら、光系魔法で押せるわけがないと言えば、分かりやすいだろう。


 ミーシャは無駄な寄り道はせずに真っ直ぐに塔へ向かう。


 鬼は退魔を恐れ、大事なものを守るために少女に立ち向かう。

 彼女は戦闘において冷酷であるが、その要因は戦いというものが死闘であるなら、自分の生死も脅かされる。


 そのため、相手を殺すという感情以外を考えていれば、命取りになるからだ。

 更に言うなら、後悔はしない。

 生殺与奪の権を握っている己の判断で全てが変わるが、完全な悪の立ち位置にいたミーシャだからの思想、幼い頃からいた場所から根付いたものだ。


 鬼の首領は動かない。

 様子見か、もう既に結末は分かっているのだろう。


 だが……もう終わりにしよう。


「上位魔法――《意識遮断コンシャスネス・カットオフ》」


 だが、心が痛い。

 何も感じない、とは流石にならない。

 精神系上位魔法――《意識遮断コンシャスネス・カットオフ》によって周囲の鬼族がバタリと倒れた。

文字通り、意識を遮断した。

 二千年という年月の間に、復讐を考え、別の道を見つけ、歩んできた。


 だから二千年前の自分と今の自分。

 何かしらの違いが生まれていたとしても当然のことだろう。


「さぁ、一対一だ」


 建物に入り、階段を上がる。

 この建物は桜花国の建造物と一緒だが、見様見真似で作れるとは思えないが、これは桜花国と裏で繋がっていたということだろう。


 手放した白状は所有者であるミーシャの周囲に浮遊している。


 そして最上階。

 ミーシャは新たな武器である《退魔刀カオス》を握り、襖を開いた。


 そこに鎮座していたのは鬼の首領。

 なんと、女、少女がいた。

 赤毛の長髪に赤眼、真紅の角を額に生やした少女。


「ほう、来たか……歓迎してやろう、人間」


「鬼の首領……単刀直入に問おう。誰があの結界を、それに国と言えるほどの数まで繁栄できたのは、なぜ?」


「……言わぬ。当然のことを、外の手を借りて、我々はここまで繁栄したのだ。そう容易く裏切るとでも?」


 誇りは高い。

 しかも竜種ほどか、自然の属性が効かないのが面倒くさいが自分と比較するなら、強者の部類に入るだろう。


「そうか……なら、殺そう。私の考えを言うなら、同じ魔族の者だろう。人間と魔族、魔族からならあり得る繋がりだが、通常、魔族は孤立している。世界に生きる生命の敵なら、手を差し伸べるのは同じ、魔族しかいない。そして時間から考えて、魔王軍幹部じゃなく……」


 もう答えは出ている。

 何のためか分からないが、破滅の魔女、ナイラ・ディルリオン。

 全て、繋がっているとしたら……。


 そもそもこの世界に存在する明確な悪は奴しかいない。


「ほう、ただの人間ではないのだな……お前の望みは復讐か」


「……あぁ、そうだな。でも世界救済でもある。そのために――」


 両者は刃を抜く。

 一方は虹色の刀身を、一方は鮮血で形作られた大剣を……。


「――さぁ、戦おう!」


 そう言い、ミーシャは冷酷な表情でニヤリと笑みを浮かべた。




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