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72.鬼族



 鬼族は正直、初見だ。

 この大地の特融な魔族なのか、額から生える角、人間より数倍の巨体、個々の魔力量からして魔力放出系の力を持っているわけではなさそうだが、あの図体だけで人間より強いのは分かるが、ミーシャにとっては極細の差だ。


「私が退魔の所有者だ。戦いに来たのなら、事の原因である私が相手をする」


 大声でそう宣言するが、その少女の容姿に鬼の男達は当然、憤慨する。


「おい、ふざけてんのかぁ!!」


「俺達、鬼の戦士がそれで納得するとでも思ってんのかぁ!!」


「舐めてんじゃねぇーぞ!!!」


 一人が走り出し、数人がひとまずミーシャを殺そうと走り出す。

 こうなることは分かっている。


 そして少女は杖ではなく、手を前に出すと赤い魔法陣が展開される。


「中位魔法――《獄炎渦ヘルフレイム・ヴォルテクス》ッ」


 突撃してくる数人の鬼に向かって獄炎の渦が横に走る。

 だが中位魔法であるため、魔力で身を護ることが出来れば、致命傷は免れるが、全身が焼かれるためただでは済まない。


「ん……へぇ~」


 余裕な表情であれなら消し炭になると思っていたが、全員が耐えていた。体内にある魔力で守ったのか、鬼族として何か特有のものがあるのか。


「中位魔法――《生態鑑定エコロジー・アブレイザル》」


 生態を鑑定する。

 あの火力なら生き残るが、ただ軽い火傷で抑えられたのは、鬼の体内で魔力の循環が人型生物の中では悪魔と同等だ。


 なるほど、なら説明がつく。

 外見で少し忘れていたが、あれも悪魔の一種ということが証明されたが、一度、滅びそうになったというのにこれほどの性能を持っているのだろう。

 ただの進化なのか、あれならかつての人間が退けられたとは思えない。

 何か裏がある。


 それに悪魔の一種なら、復活が予想されている件と関連があるかもしれない。


「上位魔法――《蹂躙暗黒オーバー・ダークネス》」


 自然属性である炎に耐えるなら、それ以外の闇なら対処できるだろう。

 暗黒が蹂躙し、鬼族は跡形もなく、消滅した。


「ふぅ~、さぁ、これでも戦うなら、容赦はしない!!」


「行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」


 怖気づくかと思ったが、鬼族は勇ましかった。

 全員で掛かればという作戦なのだろうが、無論、答えは分かっている。


「上位魔法――《暗黒千槍サウザンド・ダークネス・スピア》」


 上空に巨大な魔法陣が展開され、走る鬼族に降り注ぐ。暗黒系は自然な属性ではないため、魔法防御手段がなければ、問答無用で突き刺さる。

 更に上位魔法なら、竜種の硬い鱗も砕く威力だ。

 ドドドッと千本の暗黒の槍が大地を砕く音が聞こえる。ミーシャの魔法に背後で傍観する人間達は圧巻の表情を浮かべているが、キイチロウは別だった。


 今までミーシャの実力を見たことはなかったが彼女が世界最強級であることを彼は本当に理解していたのだろう。


 ミーシャは魔法を展開しながら、周囲を観察する。


 この威力で鬼の進行は止まり、生き残った者達は森へと撤退している。


「よし、ちょっと行ってくる。リーネ、シナ、そこで大人しく待ってて!!」


 そう言い、ミーシャは鬼たちを追った。




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