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70.退魔の製造



 暗躍部隊、暗黙法はそれに了承する。

 だがこの国の首脳である明桜会は納得するか分からないが、ミーシャの独自の行いであるため許可など必要はない。

 いざとなれば、軍事力を持つ帝国を一人で相手取れるほどの戦闘能力を持つミーシャには言葉で通用しなければ、最終的に武力になる。

 今の彼女に対抗できる存在は、終焉の魔王か、勇者くらいだろう。


 最終的な敵が魔である可能性が高い以上、決定的な打開策を持っていた方がいい。

 かつて魔王の幹部だったもの、かつての仲間達の遺体が亡くなっていたことからラズウィールのように蘇って私の前に立ちはだかるだろう。


 既に死亡した者を蘇らせるという技術は『破滅の魔女』が開発したものだろう。

 そもそもアイツは魔王が存命時代に別勢力として世界を手中に収めようとしていたはずだが、魔王が勇者に敗北してから動きは全く見せなかった。


 噂では同じく人類軍の物に敗れたとか言われていたが、今となっては暗躍するための嘘ということになる。

 出自などは人間よりの魔人。

 国の付近ではなく、辺境出身だと予想されていたが本当の事は分からない。


 そもそもただの人間が魔王の時代の時に生き残れる者だろうか。

 強大な力を持つ者は魔王の因子を宿しているか、魔王によって力を分け与えられた幹部等か、自分のように非凡過ぎる才能なのか。

 何しろ、殺すことは決定している。

 奴が何をしようとしているのか……。


 そしてかつての仲間を取り返し、奴を打倒する。


「おい、俺じゃ扱えきれねぇぞ」


「いや、私が全部やる。一人でやって見せるから、助言だけ」


「緻密な魔力操作が必須だ。これほどの功績を刃に変えるには緻密な魔力操作と絶対に切らしてはいけない集中力、でも君ならできるだろう?」


 まぁ、神器を造ったのは事実だ。

 だが毎回、不安があるのは仕方がないだろうが、武器を造るのは経験はあるが、鉱物が初めてだ。


 だが渋っている時間はないのですぐに取り掛かる。

 退魔の鉱石は特殊だ。

 今までの経験と知識から予想するのは特殊のものには特殊な性質、条件があると予想している。

 つまり造る過程で何かあるのだと……。


 鉱石を置き、両手で触れる。

 ゆっくりと魔力を流し、功績が崩壊しないように緻密に魔力操作を行うために集中力を高め、功績に意識を向ける。

 原始的な鉱石から武器を作り出すことと少し似ている。

 慎重なことは共通しており、自身の魔力で功績の形を変え、刃へと変化させていくのだから原始的な方法より難しいのは明らかだ。


「ふぅ~……ふぅ~……」


 集中力で体温が上がるため、集中力が乱れない様に息を吐き、体温を調整する。

 自分の中にある魔力の流れを調整し、流している鉱石の具合を見て、広げていく。


 それが最初の工程だ。

 鉱石を構成する粒を全体的に把握して形を変化させていくためにゆっくりと広げ、具合を見る。

 具合を見るということはどのような武器ならいけるのか、特殊な条件を探っている。


「かの鉱石は刀のみだというが……」


 その鍛冶師ガラクドの言葉、多分そうだろう。

 何故か分からないが、それが鉱石の決まった成る形なのだろう。

 刀、か。自分で持つことはなかったが、妙に引き込まれるようなものという印象だ。

 魔力が鉱石の中で渦巻く。

 全属性を行使することが出来るミーシャの魔力は虹色に輝くと言った事例のないものとなっている。


 全てに適応して独自の魔法も開発することも可能な彼女。


「いいぞ……」


 緻密な魔力操作で退魔の鉱石が形を変化して武器を製造していく。ミーシャの体感時間は引き延ばされ、一秒が一分の感覚となっている。

 ただ頭の中で思考するのは武器の鍛造のみだ。

 意外にも時間はそうそうかからない。


 何故なら、彼女は世界で唯一万能と呼べる力を宿しているのだから……。


「よし……で、出来た」


「まさか、な……驚いて言葉が出ないが、凄いな」


 黄色と紫色が輝く刀がミーシャ、アカリ、ガラクドの目の前にあった。


 それは幻と同じくらいの存在であるものが、武器として完成した形で顕現していた。


「これで対策は出来た」


 ひとまず安心だが、まだ難関の入り口である。




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