67.聖王国の影
「おい、ハウレスレイブに異変だとよ。刺客が殺されてから何も言わなかったけど?」
「刺客の全滅って言っても、俺達に次ぐって言われているからな。素直に上層部は恐れたんだろ?」
腰にレイピアを装備する銀髪の男に十字架の長剣を持つ赤髪の青年が答える。
「ファルス、お前はどうなんだよ。対峙したんだろ?」
「あぁ、魔法に関しては一流だろう。詠唱しているが、それで隙を突けるとは思えなかったくらいにな……」
ラヴァエル聖王国の最強部隊。
玉座の間の前の広い通路に全員が集まり、リーダーを待つ。
聖王国の最高戦力。人の領域の頂点、到達点を体現する者たちによって構成されている部隊。
光を司る神を信仰する国、その中枢である神典協会に所属する最強部隊。
その隊員が集っているということは状況として緊急以外他ない。
ガガガッと玉座の間の扉が開き、一人の女性が出てきた。
彼女こそが神典協会直属最強部隊・第一席、舞台の中でリーダーを担う金髪の女で剣製と呼ばれている人物。
この部隊の隊長であるためその実力は人の域の限界まで到達した実力者。
「で、どうするんだ。リーダー?」
「今の所、この事態を確認しているのは聖王国。時間の問題で帝国も築くだろう。地形的に王国は時間がかかる。目的は捕獲。主の予言はもう近い。予想だと魔王と勇者の誕生……」
「へぇ、俺らの世代でとうとう伝説のお二方が現れると?」
「以前の歴史が正しければ、世界規模の戦いになることは確かですね」
神典協会直属最強部隊・第七席の魔女ラーレイは呟く。
「まぁ、やるだけだ」
第八席の拳老イロストは恐れることはなく……。
「いつも通りに……戦いだけが俺の役目だ」
第十席はいつも通りに真面目な表情で……。
「では、今回の任務だ。最上位の魔法使いである少女を捕縛し、軍事利用することが目的だ。では行こう。世界の平和のために!」
リーダーである第一席の剣聖アリア・シュバイツアの言葉の後に全員がその一文を発現する。
そう、世界の平和のために……。
それが彼らの合言葉であり、世界に貢献する行いだと信じるための呪い。
そして強大な力を持つ魔法使いが動き出せば、世界に異変が起きる。
もう彼女の存在はあの魔王と同等と言っても差し支えないほどの存在に到達しているのだから……。
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