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65.鍛冶師ガラクド



「ミーシャ様、元気で何よりです」


 道中、赤髪の獣人少女アカリは明るくミーシャに話しかける。


「まぁ、正直時間の感覚は乱れてきたかもしれないけどね。ひとまずは弟子達が育ってくれれば……まぁ、その前に」


 そうだ。

 あの戦いは誰も予想していないだろうが、自分が保有している情報から確定で始まろうとしているあの戦い。

 その規模は二千年前の人魔大戦と同等のことが起こるだろう。

 そんなものを多くは私一人で解決していくとなると少し、いや本当に不安になる。

 あの頃とは全く違う。

 魔王様や幹部達が前に出て散っていった戦いとは異なる。


「私の終着点はまだだよ。死ぬんだったら、立派になった二人を見てから……」


「本当に大切なんですね」


「うん。何、やきもち?」


 そうミーシャがズバリなことを言うと赤髪の獣人少女アカリは顔を真っ赤にする。


「そ、そんなことありません!」


 図星なのか、頬を膨らましてそっぽを向く。

 外見は同じくらいの歳だが、ミーシャは何千年も生きる魔法使いであるため会話はある程度、予想ができる。

 だからか、楽しいことはある。

 辛いことだけじゃないが、今は一つの終わりだけを求めて私は征く。


 鍛冶師ガラクドとして知られている桜花一番の腕を持つとされる人に会いに行く。


 そこは辺境であった。

 職人らしく人里離れて、腕を磨いているのかと思いながらミーシャは扉を叩く。


「おう、入れ!」


 何か悟っていたのか、家の中にいる鍛冶師はすぐにそう答えた。


「ほう、奇妙な客人だな」


「……やっぱり、話が分かる、というよりは魔力感知で悟った」


「あぁ、ただの鍛冶師は鉄を打つだけだと思うが、それを何百回、何千回、打つことで魔力を感覚としてとらえることが出来るだろう。だがそれは一人前の手前だ。お主はもう完璧……だからか、俺は少し緊張しているな」


 そう言いながら、老いているが男としての筋肉は身についている。

 今も現役として武器製造をしている鍛冶師だからこそ、老いはあるが肉体はそれに抗っているように見える。


「武器の製造をしたい。情報を教えてほしい」


「情報、武器のか?」


「そうだ。魔に絶大な効果を持つ武器……具体的な相手は魔王軍」


 その言葉を聞いて流石のガラクドも目を大きくし、ミーシャを凝視する。

 その言葉に嘘偽りがないことを確認しているのか、そして口を開く。


「魔王か……何千年も前の話だが、再びこの世界に現れるなら、それを打ち倒すために武器が必要と……」


「そうだ。詳しいことは聞きたいなら話すけど、時間がないことだけは言っておく。私が知る限り、ここの武器しかいないと思う。退魔の特性を持つ武器の話を聞かせて」


 すると鍛冶師ガラクドは一息飲み、自分がいる居間へと二人を促す。

 二人が座り、目の前にチャを差し出して話をする。


「退魔、それは確かにこの国でしか聞いたことがないものだ。お主が思っている通りにこの国の特性が反映、映し出された概念なのかもしれない。だが俺がいる話では、そう簡単なものではない……」


 そう、暗く重く呟き、話し始める。


 この国に伝わる御伽噺を……。




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