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58.神器兵装



 この状態は明らかな暴走状態だ。

 確かにシナは竜種の中でも稀の稀であり、貴重種であるが、それでも首代竜王が元となった竜剣に取り込まれて無事であるわけがない。


「全く、あの竜王は何を考えて……」


 その結果がこれだ。

 本当にシナが適正者なのか分からないが、この状況が巨大になれば対処できるのはこの世界でもごく限られてくるだろう。


 そもそも弟子の一人が取り込まれてしまった状況で自分が対処するのが当たり前だ。


「――【万能領域】、展開。」


 やるしかない。

 覚悟を決めて、全力を引き出す。

 血液を外へ絞り出すように自分が保有する魔力を……。


 これは魔王に次ぐ存在だろう。

 私は久しぶりに緊張しているんだ。


「はは、久しぶりだな……弟子が出来た、からかな」


 教えられたもので彼女は成長し、今に至る。


 そして今は教える立場、与えるものでリーネやシナが成長する。

 大切な存在を守る、救うために彼女は力を解放する。

 神器に等しい武器の製造から魔法理論を把握し、独自の理論を構築して作り出した新たな力、スキル【万能領域】……。


 それは正に『万能の魔法使い』であり、文字通り万能の域まで魔法を扱える者。

 そんな彼女の最大火力とも言うべきもの、それは魔力の奔流をそのまま打ち込むことだが、そのもう一段上の方法はもう編み出している。


 それは……。


「《大地元槍だいちげんそうアステラード》……複製、装填」


 それは膨大な魔力をそのままぶつけるのではなく、全体の半分を武器の威力に依存するが、魔力量を限界まで込めることでドラゴンブレスに相殺した魔力砲と同等のものを複数放つことが出来るが、流石のミーシャも【万能領域】前提でないと弱体化してしまうほどの大魔法兵器である。


 この神器である槍を膨大な魔力を込めて放つ威力は一発で竜種を葬ることができる。


「シナを返せ!」


「ぐぐぐぅぅぅッ……」


 意思疎通は見た目からして不可能だ。

 今思えば、竜王が転生した姿があの竜剣と言われているが、それは初代魔王との戦いの時代であり、ミーシャや終焉の魔王ですら生きていない遥か過去の時代に誕生した剣だ。


 その内部に存在するであろう竜王の魂はどうなっているのか、という問題だ。

 その結果がこの状況なのかもしれない。

 世界の始まりに次ぐ時の中で如何に竜種の魂であろうと、何事にも限界があることを加味すれば自我が崩壊するだろう。


 そしてもう竜剣の適正者など現れない。

 いやもう扱えない、限界なのだ。


 この膨大な魔力、容易に終焉の魔王に匹敵するものだ。

 かの魔王を倒した勇者でも遠く及ばないほどの魔力量だ。

 当然、ミーシャでも扱うには手に余る量だ。


 だがこれを超えなければならない。


「装填完了……」


 放たれる槍は魔力吸収に特化した槍であり、当然の如く神器級の一振り。


 計二十本の《大地元槍アステラード》に限界まで魔力が込められる。

 それ一本で竜種を屠り、都市に打ち込めば全体の六分の一の範囲を殲滅する広範囲攻撃にも用いることができる。


 それがニ十本も放たれれば、魔王に次ぐ存在に致命傷を与えることが可能だ。


「ふぅ……行っけぇぇぇぇぇッ!!!」


 全てを制し、竜王の膨大な魔力で構築された影に独自の魔法理論で構築した神器兵装を発動させた。

 二十本もの槍がその影にぶつかり、本体崩壊と共に膨大な魔力がその威力に乗せて解放され、降りかかる。


 だが今回はその威力に魔法陣を組むことで広範囲攻撃型ではなく、打ち込んだ相手に流れる存在殲滅型になっている。

 解放された魔力が魔法陣により、影に流し込まれ、膨張する。


「グォォォォォォォォォォッ――――」


 それは本当に声にならない咆哮。

 空間が振動した音のように、巨大な空洞が大きく揺れる。


「シナ……」


 全力の攻撃、それはミーシャが一時的に休憩を取らないといけないくらいに魔力消費が激しいのだ。


 そして竜王の影は激しく揺れ、暴走が止まった。




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