48.VS 上位竜
「消し炭にしろ!!」
「ッ――――」
聖魔剣ミアルスの特性は光と闇の力を限定的であるが扱える。
剣の刀身に込め、威力を向上できる。
ミーシャが剣を構えると竜たちがブレスを吐く。
炎、冷気、風……個体の適正属性で変わるブレスだが、威力は落ちている。
「ハァァァッ――――」声を上げ、大きく剣を振るう。
すると刀身から純白の光が斬撃となり、放たれ、一撃で上位竜たちのブレスを相殺した。
「な、何だと!?」
当然、そうゆう反応になるだろう。
生命体としては最上位の存在である竜の攻撃を一人の人間によって、余裕で中位魔法以上の威力を誇るブレスを相殺したのだから……。
「さぁ、まずは雑魚からだ……」
本性とも言える好戦的な性格を表に出し、前へ歩き出す。
「貴様ら、何をしている攻撃を止めるな!」
目の前で起こった光景に数秒、竜たちは止まったが竜王の再度の命令で攻撃を再開する。
だがしかしミーシャはそのブレスを次々と相殺していく。
そして竜たちはあることに気付く。
「何だ……力が……」
「ふぅ~、やっと気づいたか……まぁ、普段なら気付く前に倒されるんだけど……」
それは竜たちには意味不明のことだが、それは完全なるミーシャのスキル【万能領域】の力だ。
「ふッ――」無慈悲に殺意の笑みを浮かべた時だ。
その姿が消え、一同は周囲に目を凝らす。
「がぁッ――」断末摩が聞こえ、その方向を見ると斬首された個体が倒れている。
「どこだ! どこだ!」
「ぐはッ――」
「がぁッ――」
「あぁッ――」
次々と同胞が首を斬られ、倒れていく。
竜たちからしたら、不気味であり、無意識に恐怖感が溢れていく。
姿が見えない。
だが首を斬っているのだから、絶対に……。
「どこだ! どこだぁぁぁぁぁッ!!」竜王の側近である彼、竜は恐怖のあまり叫び、威嚇も含んでいるのだろうが、そんなものは紙切れに過ぎない。
「――ここだ」
「ッ――――」
背後からの声に一瞬にしてその巨体は凍り付く。
もう動くことすらできない。
この強さ、魔王領での魔法を使用していたが、本気ではないミーシャだからできる御業。
竜の首を斬ることは難しくもないし、魔力の消費は上位魔法にも届かない。
分かりやすく言うならば、中位魔法くらいの魔力を使用し、竜を首を斬ったのだ。
「貴様、何者だ……」
「私は魔法使い、元々は魔王軍幹部として……」
「嘘だ。魔王軍幹部にこんなバケモノがいるなんて聞いていないぞ……それにそれはもう二千年も……」
「あぁ、二千年も経ったが今でも記憶は薄れずに刻まれている。そして誰も恨んではいないし、今私の怒りは貴様らだけだ!」そう言い、ミーシャは剣を振った。
そして竜王以外の最後の竜の死体が転がる。
あっという間に空間に血に染まり、体内に残る魔力を取り込み、魔力の補給もできた。
「さぁて、まずはそちらの女性を解放してもらおうか?」檻の方に剣を突きつけ、竜王に話す。
「……ふ、ふふふ。フハハハハハ!!! あぁぁぁぁぁはははははは!!!」
な、何だ?
急に笑い出した。
まさか、頭がおかしくなったのか。
それは正に予想の範疇を越えた意外過ぎる反応だった。
同胞が死んだというのに高らかに笑っている。
白銀のような鱗、上位竜と並んでも圧倒的な魔力量……まぁ、勝算があると自分では思うな。
「仲間が死んで、そんなにおかしいか? ならすぐに貴様も同じ場所へ送ってやる!」
「ふふ、これだけの強さ……面白い。私も目的に丁度いい駒だ!」
「何の計画か、知らないがシナを利用することは許さない!」
「ふ、それはどうかな?」
「何……」
竜王の表情は余裕で満ちている。
ここで私と……でも既にスキルは発動済み。
竜王も特性にかかっているはずだし、かからない理由も対策も今までなかった。
「ふ、空間魔法・対象限定――」
「なッ――」
竜王の口から出たのは、またしても予想外の言葉だった。
”竜種は魔法を習得していない”……その言葉が脳裏に浮かび上がる。
「――《空間移動》!!」
そして対抗する間もなく、ミーシャ、リーネ、上位竜たちの死体だけがその場から消え、シナ、竜王だけが残された。
「あ、あ……」
一瞬にしてミーシャやリーネまでもが消えってしまった状況に何が起こったか分からないシナに竜王は非道な眼差しを向ける。
「ふん、さて……生贄となってもらうか」
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