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46.青に導かれ



「クソッ! 魔法がないとこんなに迷うなんて……不幸なことに探知系を付与した魔道具は作ったものの、もう売買しちゃったし……あるのは範囲攻撃しか、探知系なんて魔法で十分だと思ったから……」


 久しぶりにミーシャは心の底から悔しんでいた。

 魔法がなければ、ただの女の子だ。


「ぐッ……完全に迷った」

「どうしましょう?」


 今後のため魔法の使用はできない。

 だがしかし今まで魔法に頼っていたため、正しい道が分からない。

 こうなったらダメ元で右手法を……いや、無駄か。


「大抵の大迷宮は各地に何かしら魔力で……いや、竜が人族のように魔法を使える話は聞いたことがない!」

「確かに竜はブレスとか魔力の塊を放つイメージですしね!」


 念のためミーシャは黄金の魔導書を開き、竜について記載されている本を取り出す。

 まず魔法とは人族が創り出し、それをマネし魔族も独特な魔法を生み出した。

 つまりどっちの種族との関係を持たない竜は魔法を生み出すことも扱うこともできない……結論、竜種は魔法を習得していない。

 人族と接触したのは初代魔王と勇者の戦いだけでその後は全くない。


「つまりここでは右手法が役に立つ時が!」右手法とは右側の壁に沿って進めば、出口にたどり着けるという方法だ。

 

 これは簡単な方法だが、時間はかかるが何も魔法が施されていない迷路ならこの方法が一番いいだろう。

 それ以外に試すものはないし、ここで立ち止まって、竜に遭遇すれば道が分からないこちらが圧倒的に不利だ。

 

「じゃあ行くよ!」ミーシャは水際がの壁に寄りながら、進んで行った。

 

 右手法は全体的に見れば、進みは遅いが、これしかない。

 ミーシャ達は最初の迷路を進んで行くと出口らしき光が見えた。


「ん~……竜の住処ってこんなものなの? 誰もいない……」広い空間があり、そこからまた幾つかの道に続いている。


「はぁ~、分かれ道か。シナ、見覚えはないか?」

「え~と、確か一番奥の道です……え?」と指を奥の道を指した時、シナが後に声を漏らした。


「どうした?」

「お母さん……?」

「え……?」シナは確かにそう言ったがその先に人影はない。


 まさか、魔力か?

 姿ななくてもそれならシナの反応には説明がつく。

 ――《魔力鑑定マジックパワー・アプレイザル

 ミーシャは魔力消費が少ない鑑定魔法を発動すると魔力が枯渇しているこの空間には分かりやすく青い色の魔力が流れる川のように漂っている。


「こっちです!」


 その予想は当たったようだ。

 シナは母の魔力を辿り、走り出す。

 その方法は奥の道ではなく、その一つ手前の道に入っていく。

 その先は下に続く階段だ。


 竜と人の混血。

 人族との子供を宿す可能性は低くはないが、人と竜は異なる。

 つまりシナの存在自体が稀であるのだ。

 竜人形態でも子供が宿った時点で奇跡であり、それを可能としたのが竜の方でなければ人のつまりシナの母が何かの体質、か……。

 しかし正式の後継者としてシナを迎えなかったのなら、母親は……。

 思考を巡らせるほど嫌な予感が横切る。


「はぁ……はぁ……」シナは後ろを振り向くことはなく、無我夢中で母の魔力を辿る。


 ってか、枯渇しているこの場所。

 あの魔力の流れ、漏れているというより……それに竜の数は魔王領に出向いたあの数をシナ探しに出撃されたということは人口も人族の半分。

 あれだけの数なら一つの国を滅ぼせるくらいには……でも入り口やあの空間に竜の姿が一つもなかった。


 そんなことを考えながらシナを先頭に階段を下り、出口であろう先に仄かな灯りが見える。

 その灯りが見えたと同時にミーシャの鼻にある匂いがつく。

 

「ここは……」階段を降りるとまたまた広い空間に出る。


 今度の空間は中心に何やら丸い紋章が刻まれており、何かしらの魔法的儀式をやる場所……。

 空間の中心に進んで行くと奥に檻のようなものが見え、中にかろうじて人影が確認できる。


「あれは……」

「――お母さん!!」と視力が高いシナが真っ先に声が上げる。


 確かに青色の魔力はあの檻から流れている。


「お母さん!!」久しぶりの再会の嬉しさでシナは走り出す。


 だがミーシャはあることに気付く。

 誰もいない場所、青色の魔力は漏れたわけではないという予想、そしてこの匂い。

 ここに入ってきた時に匂った竜の匂いがここで強まったということは……。

 

 ――《空間支配スペース・ドミネイション


 咄嗟に魔法を発動する。

 姿が見えないが、確かに……いる!

 

 そしてシナが中心の紋章に踏み入れた時、何かが起動したかのように魔力が発生する。


「シナ、ダメ!!」

「え――あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」紋章から発生した魔力は稲妻へと変化し、シナの身体を貫く。


 そしてそれに合わせ、竜たちが壁から這い出るように姿を現した。


「よくここまで連れて来た。感謝するぞ、人間!」

「……」


 ミーシャ達は完全に罠にはまってしまった。




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