45.魔法使用不可
竜が住まう場所、ハウレスレイブ山脈に侵入したミーシャ達だが……。
「う~ん……魔法の効果が悪いけど、私に限って魔力不足ってあり得ないし……《魔力鑑定》」ミーシャは空間内に存在する魔法を発動すると不思議な表情を浮かべる。
そう、天才であり万能の力を持つ『万能の魔法使い』と知る者には言われているミーシャの魔法の効果が悪いことなんて絶対に本人に原因ではなく、それ以外が原因なのだ。
鑑定の結果、ミーシャが予想していた通りに待機中に存在するはずの魔力が足りないのだ。
何故と考えるのなら、魔力の基本的なことか考えなければならない。
「やっぱり、大気中の魔力が足りない。まぁ、大気中の魔力を遮断されれば、自分の中にある魔力で補えるが……」
「それにしても、何で魔力が足りないのでしょう?」
「別に生き物が魔力がない場所でも生きられる。ただ大気中から魔力をもらい、発動する魔法自体が仕えなくなってしまうだけで……恐らくだがここには魔力の発生源がない」
「でも、竜も魔力を使いますよね?」
予想通りの疑問が飛んできた。
「あぁ、だが竜の生物だから魔力が大気中になくても生きていけるし、私と同じ竜には体内にある程度の魔力を保有しているから……でもこれは多くの竜との戦闘で消費する力が少なくて済む。これはメリットでもあるけど、こちらも魔力消費は抑えないといけない。通常は私が前線だ! シナ、分かるなら道案内を」
「はい、頑張ります!」
「じゃあ後は、二人に私の魔力を供給するからある程度は魔法やブレスは使えるから、でも使い過ぎは禁物は基本は使わない戦法で、《魔力接続》」
中位魔法――《魔力接続》は任意の対象と魔力回路を繋ぎ、魔力を共有することができる。
これにより魔力保有量が多い魔法使いが他の魔法使いの魔力を補うことができるが、共有であるため消費量は通常の倍であり、この魔法を使用した魔法使いの殆どが魔力枯渇で倒れる。
使用するなら、人の倍以上の魔力保有者しかこの魔法の効果は発揮できない。
そしてこれから確実に戦いが起こるから魔力温存のために魔法は使用できない。
つまりこれからやってきた大迷宮攻略で当たり前に使ってきた魔法が使用ができないという現状に至る。
「普通の魔法使いが如何に魔法というものに頼っているのか! 今から私が探知系魔法がなくても奥へ進めることを証明してやろう!」
魔法に頼るのが、魔法使いなのだが……でも、この状況になれば、魔法使いの戦力はゼロに近い。
それが魔法使いの最大の弱みであるため、近頃は懐に刃を隠し持ったりと対策はされているようだが、それでも本業の剣を扱う者には勝てるわけがない。
だがそれに関してはミーシャは心配はいらない。
しかしミーシャは今、如何に魔法に頼っているのかを自身で思い知ることとなる。
それから二時間。
大迷宮を進む一行に最奥が……とはならず、はっきり言って最初の迷路のような場所すら抜け出すことができない状況に陥った。
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