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37.VS 冷酷の魔帝ラズウィール②



「ッ――――」聖魔剣ミアルスを連続でラズウィールに振るう。


 ガキンッガキンッ!!

 近接戦闘も隙はない。

 

「ハァァァッ――」


 この状況は私は絶対有利、威力も筋力も!!

 だけどあの武器の特性は危険だ。

 再度、防御魔法を……。


「ア――」


 その瞬間、漆黒の刃が目の前にあった。


「くッ――」ギリギリで避け、態勢を立て直す。


 あの武器、死神の鎌グリムリーパーは振るうだけで刃を飛ばしたり、影のように動きを悟られないようにすることで攻撃が当てやすくなり、更に危険な特性としてあらゆる防御を突破でき、威力を絶大。

 一つ敵わなかったのは、勇者の剣のみだ。


「――《空間支配スペース・ドミネイション》・《絶対身体アブソリュート・ボディ》・《絶対障壁アブソリュート・ウォール》ッ!!」


 まず空間支配で把握はできる。

 後は当たらなければいいだけだが……鎌と剣ならリーチが長い剣が有利だと思うが、特性によって無駄に近づけない。

 壁に詰まっている。

 ならもう出し惜しみをしている場合じゃない……全力で戦うほどの相手だということを自覚しろ!


 

 そしてラズウィールは鎌を振りかぶる。


「――《空間断裂スペース・ラプチャ》ッ!」


 空間魔法の中でも絶大な攻撃力のある魔法を発動し、一時的にラズウィールの動きを止めた。

 でも、一時的なことをミーシャは予想する。


「――領域、全開!!」


 その瞬間、ミーシャを中心にした広範囲に存在する力が減少し、ミーシャが増大する。

 ミーシャが人魔大戦の後に開発したスキル。

 バフ&デバフ、相手の力を低下させ、自分の力を増大させるもの。

 

 だけど全開にした状態だと自分と仲間以外を対象に力を奪い、ミーシャに蓄積するもの……これこそがあり得ないくらいのチートスキル――【万能領域】の本気だ。


「《死神之鎌グリムリーパー》!!」

「ッ――《聖魔之剣ミアルス》ッ!!」


 お互い武器の力を解放し、膨大な魔力がそれぞれの刃に収縮していく。

 通常の武器にはない特性。

 それはまるで神が造り上げた代物であることから神器とも言われている。

 グリムリーパーの特性はあらゆる防御を突破し、相手に死を与える。

 ミーシャが全力で剣を振ると純白の光線が前方に放たれ、ラズウィールからは三日月状の黒紫の光と衝突する。


「ハァァァッ――――!!!」

「……くッ――」領域の効果でラズウィールは確実にミーシャに押されている。


 ここまで来たら、純粋な力技……。


「ッ……あぁぁぁぁぁッ――――」更に力を加え、死の斬撃を切断し、相殺させる。


「ッ――――」


 そして地面を蹴り、迷うことなくラズウィールへ走り、剣を突き立てる。

 光の速さに匹敵する勢いで心臓を目掛け、剣を突き出した。


 グサッと肉々しい感触と生きているのだと思わせる流血。

 

「かはッ……」言葉を交わさず、ミーシャは師匠の心臓を貫いた。


「師匠、もういいんです。後は私に任せて、ゆっくりと休んでください……」


 その言葉の後、ラズウィールは小さな肩に手を置いた。


「え……」下向きだった顔を上げるとその目にはさっきとは違い光があった。


「ミーシャ……強くなったな……」

「師匠……」


 確かにラズウィールだった。

 死んだはずの彼女にまた会い、言葉を交わしたミーシャは何かに芽生える。

 新たなものが……。


「ふッ――――」


 最後に微笑み、ぐたりと地面に倒れる。

 

「……し、師匠」


 会えたのに、一瞬だった。

 次にミーシャの頭に浮かぶのは、ナイラのこと……あいつは蘇生の魔法を開発したのか?

 でも、最後までラズウィールは別人だった。

 完全なものではなく、肉体を蘇生し、命令に従う……だったら辻褄が合う。

 

 そして蘇生させられたのは……ラズウィールだけじゃないという仮説。

 魔王城に最強部隊が行っていたというラミーの情報。

 ナイラと聖王国は繋がっている可能性も出てきた。


「……《身体回復ボディ・リカバリー》」死んでいるが傷を治す。


 埋葬のためだ。

 

 そして魔法国に漂っていた異様な魔力が消え、空から雲が晴れ、太陽の光が差し込む。

 内通者。

 多くはないが、特定も難しい。

 奴からしたら今回は失敗か?

 いや試されていたのかもな。


「この事は絶対に貴様に返す。逃げられるとは思うな……だけど、必要以上に追わない。向こうから来ることなんてわかっているから……《収納ストレージ》」


 ラズウィールの遺体を収納し、脱力感を感じ背伸びをする。


「ふぅ~……久々に本気を出したな! さて何を考えているのやら」そう言い、ミーシャは魔法国へと歩いて行った。




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