29.聖王国の刺客
「討伐確認かな?」
早速、屋根から観察するミーシャ。
奴等の外見は世界ギルドの一角・神典協会の白き服だ。
だけどおかしい。
依頼されたのは攻略組なのに……なら予想は何故か世界ギルドには知られていない自分に依頼を出した奴の仕業。
私を知っているということは私が魔王軍にいたということも分かっている。
候補としては破滅の魔女……。
「やっぱり私を探しているみたい……ん――」
その言葉を口にした時には自身の背後に気配を感じ、振り向く。
「ッ――!」黒いローブ、完全なる刺客。短剣を握りしめ、ミーシャに振るう。
ガァンッ!!
だがそんなことでミーシャに通用するわけがない。
短剣の刃は《絶対障壁》で防がれた。
「何か用?」
「くッ……」やり損ねたことを悔い、歯を食いしばる。
「第四席の時は逃がしちゃったけど、逃がさないよ?」非道な表情を浮かべ、刺客に近づく。
刺客のくせに全身が純白の修道服に身を包んでいる。
素顔を見せず、純白の服で暗殺する。
通常のやり方とは少しずれているのが、不気味だ。
何かを信仰するということについては何もないが、神典協会の在り方が気に入らない。
ってか、魔王の敵だし……。
「くそッ――――」
「《存在探知》・《空間支配》……」
敵は八人。
全員が暗殺に特化している……だけど私の相手ではない。
もう一度記憶を読むか……。
あれの使用中は集中力がないと記憶を読むことはできない。
「さぁ、誰に命令されたか……」
完璧な隠蔽魔法で私と同等の魔法使い以外は見破ることはできないだろう。
ここで全員殺しても、こちらの情報漏洩はない。
情報はこちらだけ持っていけばいい!!
「対象は八人……《対象束縛》・《記憶掌握》――」
八人全員を動きを止め、全員に《記憶掌握》を唱えた。
そこには一人の男。
こいつが……だけどそんなことはないと思ってしまう。
だったら、まだ元凶という存在の尻尾は掴めていないということか……それに簡単ではないようだ。
ならこれは……。
記憶をある程度見たミーシャは八人を知覚する。
「じゃあ警告だ。もし私に近づくなら……私はそいつらを殺し尽くし、絶対に貴様の前に来る……《暗黒槍》――」ミーシャが唱えた瞬間、八つの魔法陣が展開され、刺客たちの心臓を貫いた。
「ぐあ……」
そして貫いた肉体は暗黒に染まり、黒く染まった肉体はボロボロに砕け、塵と化した。
「ふぅ~……魔法使いは隠れるのが上手い、常識を忘れているわけじゃないよね」そう敵に呟くセリフを吐き、ミーシャは隠れ家へと帰還する。
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