27.修行開始
ミーシャは自室に戻り、ベットに座る。
膝に黄金の魔導書から別の魔導書を取り出し、ペラペラとめくり、とあるページで止める。
それは呪いの類の魔法が記されており、内容を確認する。
シナは受けた呪いの魔法は刻印が浮かび上がり、その内容は対象を縛ることに特化している。
目視だけである程度の魔法の詳細はわかった。
付与や呪いの解除は光属性に類する浄化で呪いを消し去ることもできるが、その前から耐性もあるが対人戦闘での対策はあまりない。
あの蛇神ヴァルテス、外見の蛇から毒、あるいは呪いと考えた。
だが毒と呪いは発動したら全魔法と同じ痕跡は残るが、違いは長い間残り続けるということだ。
毒なら匂いで呪いなら大地の変化で……。
そして解除に関しては毒や呪いは容易い。
恐らく竜種すら、戦闘不能にする禁呪が出回っているということか……。
「ふ~む……あの刻印、呪いと契約……なら」
「師匠、お風呂終わりました!」
「あぁ、お疲れ! じゃあ改めて自分の名を名乗ろうか……私は万能の魔法使いミーシャだ。よろしく!」
そして早速シナに刻まれた呪いを解除する。
「じゃあシナ、こっちに……」手で招き、シナはミーシャの隣に座る。
「《魔法鑑定》……やっぱり初めて見るけど、どことなく魔族ないで出回っている刻印に似ている。この魔法国内には今の所存在しないものだ……シナにちょっと聞きたいんだけど、この魔法をかけられた時、魔法をかけた本人を見た?」
「は、はい。だけど黒いローブを羽織っていたので顔までは……」
「他に何か特徴は?」
「いや……だけど十字架を胸に……」
「十字架……なるほど、じゃあ解除するね。《魔法解除》!」
するとシナの胸にあった刻印が消滅した。
「よし、これでいいはずだ。内容としては圧倒的な弱体化によるもの……これくらい特徴があるなら遭遇すればすぐにわかる……で、何故君を買ったかはリーネから聞いたか?」
「はい、ミーシャ様には感謝しています。本当にありがとうございます!!」
深くを頭を下げるシナにミーシャはすぐに「いいよ」と話す。
「今の私は何もかもが有り余っているから……一人の存在を救うことなんて容易いこと……だけど肝心なものが満たされない。それは生きる理由……二千年の時を生きてきて、私の中には様々な理由があったが、今ではそんなものはない。だけどリーネと出会って、その理由ができた。貴方達を立派な存在にするためにって――――」
「ミーシャ様……」
「ふふ、じゃあこれ――」
するとミーシャは黄金の魔導書から数々の魔法入門や基本書を取り出し、ベッドに積み上げる。
「これは魔法に関する基本のことが記されている本。まずはこれを読もうか!」
「これをですか……」二人ずつ分厚い本を三冊渡された。
「座学も大事だよ。実技の前に知識を蓄えないと魔法の発動や計画性が築けるからね!」
こうしてミーシャによる魔法の教えが始まった。
基本の魔力測定から魔力操作。
「やっぱりシナは炎と水属性だね。ドラゴンは他の種族より魔力を身体に保有しているからその影響で髪色や目の色が変化する。
逆に外見でどんな属性を持つかが分かってしまうのだが、ドラゴンにはそんなものハンデにもならない。
そして魔法を学べば、シナなら圧倒的な強さを手に入れるだろう。
初日、二人は魔導書を読み漁ってぶっ倒れてしまった。
魔法の修行は年単位、万能の魔法使いの修行はどれくらいになるのだろうか。
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